今週の中山競馬のメインは、セントライト記念。菊花賞のトライアルレースだが、来週、阪神で行われる神戸新聞杯(ともに3着までに優先出走権)が2400メートルで争われるようになってから、菊の前哨戦としての重みは、そちらに譲った格好だ。
しかしそれでも、本番をも制したキタサンブラックなど、以後GIで活躍する馬が勝ち負けしており、目が離せない重要な一戦であることには違いない。
今年は馬柱を見てもらえばわかるとおり、フルゲート(18頭)必至。神戸新聞杯ほどではないにせよ、将来性のある馬が少なくなく、しぼり込むのは、なかなか難しい。
獲得賞金から出走権を得ているのは10頭で、あとは2勝クラス(900万条件)による抽選となる。
とはいえ、出走権を有する既成勢力で名の挙がる有力候補は、オセアグレイト、ザダル、ニシノデイジーぐらい。いずれもひと息入ったあとの一戦ということで、調整過程を見てみると、期待に応えられるかは微妙なところだ。
魅力的な存在は、やはり抽選対象の2勝クラス馬の中に多いように思われる。
馬単導入以降のこれまでの17年間、その馬単での万馬券は5回(馬連2回)。この間、1番人気馬は5勝(2着5回)、2番人気馬は3勝(2着4回)。そして1、2番人気馬のワンツー決着が6回。ということで比較的に人気、有力どころが上位争いを演じてはいるが、今年はそう簡単に決まりそうにない。
穴党としては、やはり抽選待ちの2勝クラスの馬に目が行ってしまう。除外を恐れずに、まず名を挙げたいのがエングレーバーだ。この馬をイチオシしたい。
休み明けとなった前走・宮崎特別は、古馬との初顔合わせ。逃げて2着に敗れたが、久々で落ち着きがなく、道中、何度か折り合いを欠く場面があった。が、それでも頑張り通したところを評価したい。
前々走のプリンシパルS(2着)では、今回、有力視されているザダルにクビ差惜敗。この時もレース間隔が空いたせいか、道中スムーズさを欠いていた。それでも好勝負に持ち込むあたり、自力はかなりのものと見ていいだろう。
近親、一族にこれといって大物はいないが、3冠馬オルフェーヴル産駒で、祖母の父がトニービン。長丁場はお手のものと言ってよく、ここで菊の出走権を得られるようなら、本番でもおもしろい存在になる。
中山は1戦1勝。休み明けを使われての変わり身に期待だ。
2勝クラスにはもう1頭、魅力的なダークホースが潜んでいる。エターナルヴィテスが、それだ。
1勝クラスを勝ち上がったばかりだが、その内容がよかった。スムーズに折り合っての完勝劇。均斉の取れた好馬体で、柔軟性に富んだ走りをする馬。これからグングンとよくなっていく素質の持ち主とみたい。
サンデーサイレンスの3×4の近親配合(奇跡の血量)馬で、母系は欧州の名門血脈。この中間、さらに良化気配にあり、大勢逆転があっていい。
出走権を得ている中で注目したいのは、南関東公営(船橋)から挑戦するミューチャリーだ。
周知のとおり羽田盃(皐月賞に相当)を制し、東京ダービー2着。前走のJDダービーは中央勢を相手に3着と健闘した実力派だ。
ここを目標にじっくりと乗り込まれ、仕上がりは上々。祖母は中央で活躍しており、単なるダート馬とみるのは間違いで、芝の対応力は十分あるだろう。母系から距離の不安もなく、要注意馬と言っていい。