不世出の野球人である野村克也氏がみずからの言葉を遺した最期の共著「超一流」(徳間書店刊)が、3月11日に発売される。同書の対談相手として野村氏にズバズバと「ストレート評論」を投げ込んだ江本孟紀氏が語り尽くす。
*
僕にとってノムさんは、野球人としてやっていく最初のきっかけではあったけど、絶対的な恩師というわけでもなければ、戦友というほど大げさでもない。でも間違いなくある時期は、同じ戦いをしてきた。大スターであり、僕のボールを受けていたバッテリーでもある。引退後は同じメディアの評論家として活動したり、たまにパーティーで顔を合わせたり…結局50年くらい、家族より長い付き合いです。亡くなったと聞いても、親や友達が死んだ、というのともまた違う。
一報を聞いて、そういういろんなことが全部混ざり合った妙な感傷というか、複雑な気分でしたね。
江本氏の感傷を後押しした要因はもう一つある。初の共著の制作にあたり、昨年夏から野村氏と対談を繰り返してきたのだ。
雑誌の対談みたいなものはあったけど、腰を据えてじっくり話すことは実はこれまでなかったんですよ。飲んだり食ったりの付き合いはなかったので。
きっとノムさんがもっと若い頃なら「江本なんかと一緒にやれるか」という感じだったと思うんですよ。そういうプライドをずっと持っていた。ここ数年、まあ年齢的なこともあるんでしょうね。だんだんいろいろ受け入れるようになっていたんじゃないですか。
取材の間は楽しそうでしたよ。昔のことを話せること自体が楽しいんでしょうね。僕も時々、話しながらノムさんのことをちょっと持ち上げたりしてね(笑)。
*
まだまだ続く、「生前の秘話」満載となった江本氏の独白は、3月10日発売の週刊アサヒ芸能3月19日号が伝えている。