人気バンドの「RADWIMPS」が3月15日に中国向けの配信を開始した楽曲「Light The Light」を巡り、批判と擁護の応酬が繰り広げられているという。
同曲はRADWIMPSの野田洋次郎が、新型コロナウィルスの脅威と闘うすべての人に向けて作ったもの。中国でお世話になっている人たちから「中国で不安な生活を送る人たちを励ます曲を作ってはもらえませんか」との提案を受け、制作したという。野田は15日に〈中国内の皆に向け曲を作りました。無料です〉とツイートし、中国向け楽曲配信サイトの「網易雲音楽」にて配信をスタート。絶賛の声が集まる中、このツイートに噛みつく人もまた少なくないというのだ。
「野田のツイートに対しては《露骨な媚中派》《政治的な背景など何も考えてない》《中国が隠蔽したんだろ?》といった批判も多数寄せられています。確かに中国での新規感染が落ち着き、中国国営メディアが《世界は中国に感謝すべき》と開き直っている今、中国向けのメッセージソングを贈るのはいささか時機を逸したかもしれません。もちろん野田は中国政府にではなく、新型コロナウイルスに苦しむ中国人に向けて曲を書いたのですが、その違いはなかなか理解してもらえないようです」(音楽ライター)
ただ、野田に向けられた「媚中派」との批判に対しては、正面から反論するファンも少なくないようだ。
「野田は18年に『HINOMARU』という楽曲を上梓。震災や台風から立ち上がる日本人が一つになれる歌とのことで、多くの人の心を打ちました。しかし一部には、歌詞にある《日出づる国》や《気高きこの御国の御霊》といった言葉をあげつらい、愛国心を煽っている、とか、まるで軍歌だといった的外れの批判もあったのです。6月11日には野田自身が《傷ついた人達、すみませんでした》との謝罪ツイートを公開しましたが、この経緯から野田には“日本を愛する人”のイメージもつくようになり、今回の媚中派批判は誤解に過ぎないとの反論が展開されているわけです」(前出・音楽ライター)
ともあれ、野田自身は世界中の人々をあまねく愛しており、媚中派でも国粋主義者でもないはず。今回の騒動は、違った形の新型コロナウイルス被害なのかもしれない。
(金田麻有)