プロ野球の経営陣は開幕戦の延期による「払い戻し作業」にも今、追われているという。同時に、ペナントレース公式戦が始まった時に備えて対策も講じていたが、混乱は避けられないようだ。特に巨人、ソフトバンクなどの人気球団は大変だが、阪神は“大騒動”となりそうだ。「鳥谷ロス」である。それに触れる前にまずは、ベテラン記者が現場の内情を語る。
「早期の開幕戦実施が無理という斉藤惇コミッショナーの会見(3月23日)の前に、12球団代表者会議も開かれています。そこで確認されたのは、公式戦が始まってからの感染予防策です。『人と人との間は3m以上』の専門家の意見に従えば、座席を5つ以上空けて座ってもらわなければなりません」
阪神戦の場合は、家族連れも多い。そうなると、子どもが離れて座って親が心配になる。であれば、行くことをあきらめるケースも考えられ、さらなる観客減は避けられないだろう。そして、阪神の経営陣を苦しめているのが、対千葉ロッテ戦だ。ロッテに昨シーズン阪神を去った鳥谷敬が移籍しているからだ。
「阪神は6月以降の巨人戦を除き、すでに今季143試合分のチケットを販売していました。中でも、交流戦のロッテ戦に関しては鳥谷の移籍をファンが見通していたのか、3連戦とも完売です。開幕戦が決まれば、交流戦の日程も組み直しとなります。となると、払い戻しがいちばん大変そうなのは、ロッテ戦になるわけですよ」(前出・ベテラン記者)
奇しくも、この開幕戦のさらなる延期が発表されたのと前後して、千葉ロッテは背番号「00」の鳥谷グッズの販売をスタートさせた。ネット販売もされていたせいか、「関西方面からの注文も多い」(関係者)という。
払い戻しの喧騒に追われながら、阪神は、鳥谷敬への根強い人気、そして「鳥谷ロス」を再認識させられそうだ。
(スポーツライター・飯山満)