アレに向けて一丸になるはずの岡田阪神に、早くも微妙な影が差し込み始めた。岡田彰布監督の考え方が他の首脳陣に浸透せず、ナインが戸惑い始めているからだ。
在阪スポーツ紙ベテラン記者が言う。
「2月7日のシート打撃がいい例です。監督としては、まだ自分の考え方が浸透していないこの時期のシートは早いと思っていました。ところがメニュー作りを任せられているコーチ陣が、組み入れてしまった。これに指揮官は不満を持っているようです」
例年ならば、春季キャンプの第2クールから実戦形式のシート打撃をするのは不思議ではない。だが岡田監督は、シート打撃の結果でナインが一喜一憂し、それを周囲が騒ぎ立てることに不安感を抱いているのだ。
「阪神の場合、これまでもそうだったように、シート打撃であっても、打てば大騒ぎになる。これに選手本人も、指導する打撃コーチ陣も、勘違いしてしまう。そのせいで本来の打撃を忘れ、オープン戦や公式戦では全く打てなくなった例はゴマンとありますからね」(在阪テレビ局関係者)
とはいえ、チームに不協和音を招いているのは岡田監督自身だ、という指摘もある。遊軍記者は、
「キャンプではOBで臨時コーチの鳥谷敬氏や赤星憲広氏ばかりがクローズアップされています。この2人は岡田政権誕生時の入閣候補だったこともあり、指揮官の覚えがめでたい。今のコーチ陣にとっては、これがあまり面白くないのです」
短期間の臨時コーチであっても、成果が上がれば当然、手柄になる。そうなれば現スタッフの面目は丸つぶれとなり、場合によっては今オフに首をすげ替えられる判断材料にもなろう。
「コーチ陣も焦りから、結果が明白に出るシート打撃を実施してアピールしたくなるのも無理はありません。が、コーチの指示でやったシートが物議を醸しては、選手もオロオロしますよ」(前出・在阪スポーツ紙ベテラン記者)
今のところ監督のコーチ陣は、大きな衝突には至っていない。だが本来、岡田監督は野球に関しては絶対の自信を持っており、意に沿わない人間には厳しい。このまま指揮官の考えが浸透しなければ、アレどころではなくなるのだ。
(阿部勝彦)