「データ野球」と言われて久しい昨今のプロ野球。その先駆けは、1990年、ヤクルトスワローズの監督に就任した際、「ID野球」として提唱した、野村克也監督(故人)だろうか。野村監督がヤクルトを4度のリーグ優勝、3度の日本一に導いたことからも説得力を持ち、世間への認知度を高めたものだ。
しかしながら、「データ野球」にとらわれすぎることに警鐘を鳴らす「番組」があった。ABCテレビ公式のYouTubeチャンネル〈虎バン 阪神タイガース応援チャンネルABCテレビ公式〉で、「ミスタータイガース」こと掛布雅之氏と、プロ通算2099安打、昨シーズンを限りにユニフォームを脱いだ名球会選手の鳥谷敬氏が「野球界の未来」について論じた、1月1日付け投稿回である。
その動画によれば、鳥谷氏がプロ入りした2004年当時には、データを自身で噛み砕いて判断していたものが、今はその通りに従えば良いといった風潮が蔓延しており、「守備位置も、今日の(相手バッターのバットの)振りだったらコッチが良いな…で、逆をつかれたら、こういう時にはこうなんだ…ってのがあるんですけど、データをポンと渡されて、その通り守って(ボールが)来なかったら、データのせいだから別に良いってなるじゃないですか?」と鳥谷氏。
これを受けて「今の野球の方がドラマが生まれづらいな」とした掛布氏。鳥谷氏も、「高校野球に何でドラマがあるかって言うのは、データが無いことだと思うんですよ」と同調の姿勢を見せていた。
セオリーを破りそうな気配を見せる北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督に期待を寄せる発言もあった鳥谷氏。「勝ち負け」は大切だが、ファンを喜ばせるにはドラマも必要…そうしみじみ思わせるトークであった。
(ユーチューブライター・所ひで)