この打撃成績でAクラスの3位をキープしているのだから、ある意味、奇跡である。松山でのヤクルト2連戦を迎える金本阪神のチーム打撃2割2分2厘、本塁打9、得点55、盗塁1はすべてリーグワーストだ。チーム防御率3.28は同2位(4月23日時点)。完全な投高打低である。
「オープン戦後半から打撃陣は不振でした。金本(知憲)監督=50=は試合を重ねるにつれ、だんだん調子を上げていくと見ていましたが、ペナントレースが始まって、まもなく1カ月がたとうとしています。このままズルズルと順位も落ちていくかもしれない」(ベテラン記者)
打撃不振の一因は、ベテラン・鳥谷敬(36)にある。ロサリオ(29)の年俸が3億4000万円(推定)。「本塁打1」という今の成績では完全な“不良債権”だが、鳥谷はそれ以上に「費用対効果」が悪い。4億円プレーヤー・鳥谷の打率は1割4分6厘、連続試合出場の記録は更新されているが、スタメンを外されることも多くなった。
「ファンの受け止め方も変わってきました。鳥谷がスタメン落ちしても驚かなくなったんです」(在阪記者)
過去2年、ファンは「金本監督が鳥谷に厳しすぎる」と見ていた。連続フルイニング出場の記録が途切れた16年シーズンは「やりすぎ!」のバッシングも聞かれたが、今年の不振を見て、「金本監督は正しかった」という声に変わってきた。
「鳥谷は将来の監督候補です。それを考えると、金本監督は連続試合出場の記録更新のため、使い続けなければなりません。チームに強い影響力を持つベテランであり、フロントも無下にはできません」(前出・在阪記者)
鳥谷は5年総額20億円の複数年契約だから、来季も安泰だ。しかし5月になれば、虎ファンがキツイお叱りを浴びせる株主総会も開催される。それまでに復調が見られなければ、今年の総会は「優勝のため、非常に徹しろ。鳥谷を外せ」なんて罵声が飛び交うかもしれない。
(飯山満)