「酒よ」や「雪國」などのヒットで知られる吉幾三は、今年3月でデビュー40周年を迎えた。しかし、その直前、相次いで大病を患い、歌手生命に赤信号がともっていたというのだ──。
「実は、デビュー40周年を迎えるにあたって、健康診断をしたんですよ。すると、医師から『このままだと倒れるからすぐに入院しろ』と言われてね。今年の2月24日に緊急入院したんです。テレビや雑誌では『吉幾三、心臓手術』と大げさに報道されてしまって困ったよ。だって、僕も事務所も、その時まだ病名を告げられてなかったんだから。確かに、今思うと、入院前には手先や足先がいつも冷たかった。それまでは楽屋で寝たことなんてなかったのに、やたら疲れやすくて横になったりね。呼吸困難になることもあった」
そう屈託なく語る吉幾三(60)は、病み上がりとは思えない血色のよさだった。インタビューの最中もハイボールのグラスを傾けながら冗談を交えつつ、闘病生活を振り返った。
「医師から聞かされた病名は『徐脈性完全心房心室ブロック』という心疾患だった。要するに脈拍が極端に下がってしまう病気。普通1分間の心拍数が60回打つのが、35回まで下がってしまった。担当医の強い勧めもありペースメーカーを入れるために緊急手術しました」
そして入院から7日後の3月1日に退院。同月25日には日本橋公会堂で、40周年公演を行うほどの回復ぶりを見せた。
「ペースメーカーを入れてからは脈も下がることなく体調も順調。医者が『(ペースメーカーの)電池の寿命は8年なので、8年ごとに電池を入れ替えましょう』って言ったら嫁が『先生、8年間で結構ですから』って。おいおい、それはないよな(笑)」
こんな冗談を言えるほど術後の経過は順調そのもの。40周年イヤーということもあり、多忙な生活を送っているのだ。
しかし、体調の異変は、これだけではなかった。昨年12月にも病魔に襲われていたという。
「これはまだ、どこにも話していなかったことだけど、実は去年の12月に、2回ほど下血してね。内視鏡で診てもらったら、大腸のポリープが破れてたんだ。12月26日に、サンフランシスコでのディナーショーを目前に控えてのことだったから、医者には止められたけど、出血も治まったし、薬をもらって『酒もタバコも絶対ダメ』という約束でショーを行った。40周年記念のディナーショーで、自分の歌を楽しみにしているお客様がいる。何としてもこのディナーショーはやりたかった」
その後、下血は収まったが、そのやさきの心疾患にはさすがにショックを受けたという。
「下血が治ったなと思ったら、急に心臓にきちゃったからね。『不安と気苦労が重なって、心臓に影響が出たのかもしれないね』と医者とも話したんだ」
長年に及ぶハードワークにより、勤続疲労を起こしていたのかもしれない。