YouTubeで増えているという「モトブログ」をご存じだろうか?バイクで走りながら風景を収めたり、仲間とのツーリングの記録を残すMotoVlog=「モトブログ」というジャンルが今、ジワジワと人気を高めているそうだ。
そんなモトブログをみずからのYouTubeにアップし、好評を集めている小説家ユーチューバーがいる。2015年〈スクラップ・アンド・ビルド〉でお笑い芸人の又吉直樹と同時に芥川賞を受賞し、テレビの出演も多数果たしている羽田圭介氏だ。
羽田氏のYouTubeチャンネル〈羽田圭介〉、4月18日投稿の〈変わる出版事情、バイクで現実逃避するっきゃない〉を見てみよう。
この回は、仕事現場である東京・赤坂のTBSにバイクで疾走するということで、天候にも恵まれ、さぞや爽快な話が聞けるかと思いきや、
「この前、小説の打合せで、ある出版社に行ったんですよ。今、直してる小説を文芸誌に掲載して、それを単行本にするわけですよね。単行本にするには、もう1本短編とか書かないとダメですかねって聞いたらですね、年内は本出さないかもしれないって言われたんですよ」
と、意外にも羽田氏がアクセルをふかしつつ出版事情の裏話を交える〈モトブログ〉となった。
出版が難しい状況にある理由は、やはり新型コロナウイルスの影響による印刷所の自粛と、今夏に開催される予定だったオリンピックが影響しているそうだ。
「オリンピック中は本は売れないだろうとの計算があったんだそうです。それでもとから今年の夏は、その出版社は本をあまり出さない計画だったらしいんですよ。でもオリンピックがなくなったんで、慌てて夏に出す本とかも調整はしてるらしいんですが…」
まだ4月なので、今から頑張れば出版できないこともないようなのだが、プロモーション活動がままならぬ昨今、新刊をリリースするのに今年は最適なのかという思いの一方、小説を出す間隔を空けたくない…といった葛藤もあるようだ。が、いずれにしても…と羽田氏はこう続けた。
「冷静に考えてみれば、その間に新しい小説を書いていればいいんで、やることはそんなに変わんないですけどね」
モトブログ本来の目的を果たしつつ、出版界の裏事情も明かされた今動画。かなり内容の濃い中身で、勉強にもなった気持ちにさせられた。羽田氏の斬新なアイデアは、何も小説の中だけにはとどまらないようだ。
(ユーチューブライター・所ひで)