国際政治学者の三浦瑠麗が4月24日、自身のツイッターアカウントを更新し、コロナ禍で営業自粛要請に応じないパチンコ店の店名公表について言及している。
大阪府の吉村洋文知事は同日、緊急事態宣言が出ている中で、営業を続ける府内の一部パチンコ店に対するペナルティーとして、特別措置法45条に基づき、全国で初めて店名を公表した。
密集・密接・密閉のいわゆる3密に該当する可能性が指摘されるため、この吉村知事の決断を支持する声も多いが、三浦氏は〈パチンコは騒がしいので普段から好きではありませんが、見せしめのような店名公表には反対です。自粛なんだからあくまでも基本自由であるということを原則として頭においていただきたい〉とし、営業自粛要請に応じるかどうかの最終決定権は店側にあるとの見解を示している。
また、〈行政が電凸(編集部注:一般市民が企業にTELで見解を問いただす行為)を誘う社会的圧力をかけるべきではないし、(店が)潰れて労働者がクビになったら責任を取れるのでしょうか〉〈人々の憎しみを焚きつけるような私刑を誘うやり方はよくない。法治国家はそれをすべきではない〉などと綴り、吉村知事の判断が法治国家としての在り方に反するとも示唆した。
「1日でも早くコロナの感染を終息させたいと模索する国の決定や要請に従わないでいるパチンコ店にも、もちろん原因はありますが、今回の吉村知事の店名公表は識者の間でも意見が分かれています。また、その名前を公表されたパチンコ店には一定の宣伝効果が伴ってしまうのではないかとの懸念も一部から出ている一方、三浦氏の指摘する通り、今後、そのパチンコ店は、その何倍もの膨大な数の電凸の嵐に苦しめられることになるでしょう。報道によれば、現在営業を続けているパチンコ店の中には、目の前に返済が迫った借金を抱えている店もあり、店を続けざるを得ないという心情を吐露する関係者もいるようですからね」(テレビ誌ライター)
今回の騒動の舞台と同じ大阪府内の“電凸騒動“で記憶に新しいのは、昨年、お笑いタレントのたむらけんじがプライベートで訪れた府内のラーメン屋のケースだ。この店の関係者が店舗の公式ツイッターアカウント上で、来客したたむけんについて〈カメラ回ってなかったらおもんないやつ〉などと中傷のツイートを投稿し、その後、たむけん本人とバトルを展開する事態となった。
すると、店には1日中とてつもない数のクレーム電話が相次ぎ、営業に大きく支障をきたすレベルとなっていたことが発覚。結果的に件のラーメン屋は数カ月後に閉店へと追い込まれ、騒動前に3.55の採点が付いていた口コミ評価は1.4にまで下がる、まさに“私刑の標的”となってしまった。
「当時のたむけんは50万人を超えるフォロワーを抱え、その中の一部ファンから電凸行為が始まり、一気に拡大していったとされていますが、今回の大阪府によるパチンコの店名公表は生死に関わる問題でもあります。たむけんと揉めたラーメン店とは比較にならないほどの全国からの電凸や、コロナ禍終息後の、自治体との対立など、末恐ろしい“私刑“が待っていることは明らかですよ。要請に応じなかったことへのペナルティーという大義名分があるにせよ、店名公表による破壊力は凄まじいものになりそうです」(前出・テレビ誌ライター)
自粛要請に従わないパチンコ店名を公表する動きは東京や兵庫にも広がっている。大阪の事例を参考に、全国で営業を継続させている他のパチンコ店が今後どのような判断を下すかにも注目が集まるだろう。
(木村慎吾)