アンダーウエアは女の年齢とともに、そのたたずまいを妖艶に進化させる。三十路、四十路、そして五十路と移り変わる「熟した」女性の七変化を見よ!
今や参院議員である石井苗子は、映画で妖艶シーンを見せたことが何度かある。92年公開の「離婚ゲーム 僕のベッドはトライアングル」(東宝)では、女性未経験の男性の手ほどきをする弁護士という役どころ。ベッドシーンに精通する映画ライターの松井修氏によれば、石井は当時38歳で、「黒いスリップ姿で大学生を誘惑」し、その手を自分のバストトップに触らせていたという。
国民的女優に君臨した三田佳子は、「脱ぎ」とは無縁の女優である。唯一、妖艶な場面を見せたのが「別れぬ理由」(87年、東映)だ。年下の不貞相手である古尾谷雅人を相手に、上質の肌着を脱いでの全脱ぎの営みとなる。ただし、古尾谷が覆いかぶさっているため、三田のカラダはほぼ見えない。公開直後、三田にインタビューした秋本氏が言う。
「ご本人は『私は全部脱ぐつもりだったの。でも胸がないから』と。さらに冗談っぽく『豊胸手術しようとしたらお医者さんに止められた』と言っていました」
樹木希林の遺作プロデュースとなった「エリカ38」(19年、KATSU-do)では、浅田美代子が女詐欺師の役を演じた。日本とタイでさまざまな男と関係を持つが、白眉なのは国際的な仕事に従事する平澤(平岳大)とのベッドシーン。
ホテルの一室で、ぴちゃぴちゃと唾液音をさせるほど濃厚に唇を重ねる。そして黒いキャミソール姿でベッドにうつ伏せになるのだが、強調された渓谷から、あふれんばかりの豊胸がのぞく。そして、平澤からキスされると「うふっうぅ~ん」と甘美な吐息を漏らすのだ。還暦を過ぎての初艶姿は、これ以上ないくらい濃密であった。
同じく五十路を過ぎて映画での脱ぎを解禁したのが水沢アキだ。手で抜いてあげる性サービス女性を題材にした「やさしい手」(10年、ファインフィルムズ)では、やや大きめの肌着に身を包んだ姿を披露。
水沢は、ドアの「魔法の穴」から手を差し入れ、客の股の間をたおやかにマッサージするという役をこなした。かつて、水沢の脱ぎのグラビアにお世話になった世代には、感慨深いものがあるだろう。
最後は名取裕子が白衣のナースに扮した「マークスの山」(95年、松竹)を紹介しよう。名取は患者であり、恋人でもある若い男(萩原聖人)と、たびたびのベッドシーンを見せる。
病院内では白衣のまま、テーブルに腰かける萩原に口で愛撫。さらにテーブルに腰かけて立った姿で合体する。萩原は名取の下半身の肌着を脱がそうとするが、白衣は脱がずに胸の肌着だけがわずかに見える形で情事に及ぶのだ。
ある意味、完熟した女性のコスプレのような背徳感が漂っていた…。