泉谷 まぁ、コッチは無理難題言ったつもりなんだけど、それでもやれちゃうところはさすがですよね。やりこなせちゃうというかさ、常にこっちの期待以上のモノが出てくる。アレは何なんだろう。やっぱり天性のものなの?
八代 どうなんでしょうね。例えば歌が10曲あるとするじゃないですか。そうすると10個の性格になるんです。曲によって性格が変わるんですよね。私ってなんていい女なんだろうって思ったり、なんて執念深いんだろうと思ったり。
泉谷 役者が役によって変わるのと似てるよね。
八代 だから、「夜につまずき」ではオッサンになってます。オラァ! って。荒くれたおじさん(笑)。
泉谷 この歌の中に「いつもの部屋のいつもの女」って歌詞があるんだよね。この主人公は、そんな“いつも”に半ば飽き飽きしてるんだけど。でもホントは、それってある種ぜいたくな時間でさ、そのありがたみに気づいていないワケ。そのあたりを八代さんがどう表現してくれるかって思ってたんだけど、オレはかなり満足してます。
八代 ホントですか?
泉谷 今までに聴いたことのない八代さんが出せたんじゃないかな。
──ところでレコーディング中は、泉谷さんがかなり八代さんに言い寄っていたという噂ですが。
泉谷 そんなの当たり前じゃん! だって八代亜紀って人はね、歌い終わったあと、ものすごく色っぽいんですよ。で、オッパイもでけーなと。スタジオには旦那もいたからさ、言っちゃいけねえと思ったんだけど、つい「オッパイに顔をうずめたい」とか言っちゃったよね(笑)。
八代 そうでした?
泉谷 それも聞いてねーのかよ(笑)。旦那さえいなきゃ、あの場で押し倒してたんだけどなぁ。
八代 光栄です(笑)。
泉谷 でも真面目な話、歌ってセクシーなモンだし、もっと言えばセックスだからね。色気のないヤツにいい歌は歌えないですよ。
八代 私は全然ないですけどね。
泉谷 そんなことねーよ! もちろん、八代さんもそうだけど、日本の女性は年齢を重ねるごとにどんどんよくなっていくよね。
八代 そうですね。生き生きしてる人が多い。
泉谷 年を取るってことは経験値も増えるワケでさ、その分、自分に必要なモノを判断し、いらないモノを削ぎ落とせるんだよ。
八代 本当に自分に必要なものって年齢を重ねないとわからないから。若い時ってただブランド物を持てばいいと思ったり。
泉谷 若い時は自分のファンになかなかなれないからね。でも、年を食うと少しずつ自分のファンになれるんですよ。年食った自分もステキだゾと。
──「今」のすばらしさを知るために、このアルバムを聴け! ですね。
八代 こんな時代や生き方があったんだって少し気が楽になると思います。
泉谷 人間力みたいなモノを感じてほしいよね。機械に頼ってないヤツらの想像力みたいなモンをさ。
──ありがとうございました。
泉谷 取材、終わり? よーし、じゃあ~押し倒すかァ!(笑)。
スタッフ一同 ダメですよ!
八代 アハハ。でも、レコーディングが終わったあと、私のホッペにチューしたんですよ。
泉谷 しょーがねーだろ! 色っぽいんだからよ!