かつて中日ドラゴンズで活躍した川上憲伸。2002年には対巨人戦でノーヒットノーランを達成しており、NPBで活躍した14年間に開幕投手を7度も経験するドラゴンズが誇る名投手だが、その川上が、自身のYouTubeチャンネル〈川上憲伸カットボールチャンネル〉の中で開幕投手の苦労を語り、2004年の落合博満監督就任1年目の開幕試合の裏側について明かした。6月9日〈落合監督1年目の優勝は開幕にあった!?【マル秘】伝説サプライズ開幕の舞台裏〉がそれだ。
「開幕投手はしたい。したいんだけど…したくないって言うのかな…」と番組冒頭、複雑な表情を浮かべた川上。開幕投手を通達された時は、開幕一週間前から栄養失調になるのではないかと思えるほど食事が何を食べても美味しくなかったそうで、怪我には細心の注意を払い、気苦労が絶えなかったと語る。
そんな中、2004年に監督初年度を迎えた落合氏に話が及んだ。キャンプで初めて会うなり「お前、開幕あると思ったら大間違いだぞ」と落合氏から言われたそうで、面食らった川上。それでも、落合氏は情報を隠し、味方から騙していこうというタイプなので、自分が開幕投手をするものだと信じ込んでいたという。
しかし開幕2日前にも通達がないことから当時の森繁和投手コーチを通して確認したところ、開幕投手でないことが判明。結果は、その前の3年間、右肩の故障により一軍登板なしの川崎憲次郎だった。「落合さん、凄い事やるな」と川上は感心したそうだが、この年、川上は17勝の最多勝に輝き、リーグ優勝のけん引役となった。
相手チームもエースが予想されることから、あえてドランゴンズは川上を開幕投手とせず、またエース川上を発奮させるための落合氏の策略だろうと当時も話題となったが、川上の口から直接聞き、改めて落合氏の策士ぶりを実感する動画だ。(ユーチューブライター・所ひで)