「オレ流」とも言われた、中日ドラゴンズの落合博満元監督は、通算8年間ですべてAクラス入りし、リーグ優勝4度、日本一に1度導く名将の1人だ。感情を面に表さず、どこか飄々とした姿が印象的だが、そんな落合監督にも思わず涙を拭う姿を見せるメモリアルな試合があったことはご記憶にあるだろうか。2006年10月10日に東京ドームで行われた「巨人‐中日」戦である。この試合で先発のマウンドに上がった中日のエース・元プロ野球選手の川上憲伸氏のYouTubeチャンネル〈川上憲伸カットボールチャンネル〉の、4月23日付け公開で〈【伝説】落合博満が涙した2006.10.10優勝決定戦&長嶋巨人大逆転Vの舞台裏2000.9.24〉とタイトルされた投稿回を観てみよう。
この試合は「3対3」のまま延長までもつれにもつれたが、12回表に中日の福留孝介氏がタイムリーヒットで勝ち越すと、その年の本塁打王と打点王に輝いたタイロン・ウッズ氏が満塁ホームランでダメを押した。ウッズ氏がホームベースを踏んでベンチに戻る際、「ホームランを打っても1度もベンチから立たなかった落合監督が、ベンチから出て、さらにタイロンを抱きかかえた瞬間に、僕は涙がポロリと出ました」と、情感たっぷりに身振り手振りも加えて川上氏は振り返ったのだった。
落合監督がウッズ氏を抱きかかえるとスタンドがファンの拍手と歓声で派手に盛り上がった。その気勢もあってか、ベンチに戻った落合監督が、12回裏の守備を待たずして思わず涙して手の平やタオルで拭うといった貴重な姿も当時のテレビに映し出されている。「鬼の目」ならず「オレの目にも涙」を懐かしく思い出させてくれる好回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)