ジメジメした季節に発症する「水虫」。症状として「かゆみ」が伴うと思いがちだが、実際はごく少数にすぎない。自覚症状がないゆえに、気づかず放置されていることも多い。
「水虫」とは、白癬菌(はくせんきん)というカビが皮膚に付着し、繁殖したもの。白癬菌は皮膚のケラチンタンパクを餌にして増えるため、足の裏が格好の居場所となるのだ。白癬菌はスポーツジムや温泉など、裸足で不特定多数の人が歩く場所でうつされる場合が多く、足に感染することが最も多い。一方で、足から陰部にうつる「股部白癬」もあり、免疫力の低い人は全身に発症する場合もある。
水虫のサインは「足の皮がむけること」だ。指の間の皮がむけるタイプが最も多く、指先や土踏まずに小さな水泡ができたり、爪が厚く白く、もろくなっていく「爪白癬」もある。
ただし、爪が白くなっているからといって、必ずしも「水虫」というわけではない。靴で圧迫され小指の爪などが白くなっているケースもある。むしろ爪だけ「水虫」になる人はごくわずかで、足の「水虫」が長期間放置されて爪にまで入ることが多い。
注意したいのは、かかとの角質が厚くなり、ポロポロむけるタイプの「水虫」だ。かゆみがないだけに、単なる角質だと思って放置している人が目立つ。
足の皮がポロポロむけていたら医療機関を受診したほうがいいだろう。「水虫」と診断されると、塗り薬の「抗真菌剤」を処方される。皮がむけなくなったなど見た目の症状が治まっても、塗り薬の使用を自己判断でやめないことが重要だ。
ちなみに「水虫」は夏に発生し、冬に自然に治るものと思い込んでいる人もいる。しかし、寒くなって症状が小康状態になっただけで、生き残った菌が夏にまた繁殖してくるというケースもある。治療は薬を塗るだけだが、続けられない人が多く、繰り返す人が多いので注意が必要だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。