「密、密、ふふふ」
自民党の河井案里参院議員が、集まってきた報道陣の問いかけにこんなコメントをつぶやいたのは去る5月14日。6月17日の国会閉会を待って、検察当局は、公職選挙法違反(買収)容疑で、同じく自民党の衆院議員で夫の河井克行前法相とともに案里氏を本格的に取り調べる見通しだが、案里氏が国会に出席するたびにマスコミが殺到する事態は、この間ずっと続いていたのは周知のとおりである。
案里氏といえば、3月3日に公職選挙法違反(買収)容疑で自身の秘書ら3人が逮捕。そのうちの公設第2秘書の立道浩被告は6月16日に広島地裁は懲役1年6月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。夫とともに、昨年4月に投開票された統一地方選挙の前後に地元政界関係者ら約100人に「陣中見舞い」や「当選祝い」などの名目で現金を配布。総額は2000万円以上で、多くは克行氏が持参し、一部は案里氏みずからも渡したというが、当時、案里氏は同年7月の参院選に自民党公認候補として出馬することが決まっており、検察当局は、案里氏への票の取りまとめを依頼する趣旨で現金が配られたという見方を強めている。
1年生議員ながら何かと話題を振りまく案里氏が政治の道を歩み出したのは、03年に広島県議会議員選挙に出馬してから。後援会関係者はこう振り返る。
「克行さんの妻というのもあるし、県会議員の実力者が肩入れしていたので、注目候補として取り上げられていた。当選後も議会で長老県議から、“女のくせに”的なヤジを飛ばされていましたが、しっかり自分の意見を主張していました」
広島県議を計4期務めた案里氏は、結婚していてもモテモテだったという。
「美人県議として人気があるだけではなく、スキンシップがうまい。さりげないボディへのお触りや宴席でしなだれかかるようなこともあり、“あわよくば”を期待しているオヤジ県議は多かった」(前出・後援会関係者)
先述のように、昨年7月には参院選広島選挙区の2人目の公認候補者として立候補。広島県連が反発し、分裂選挙を戦うことになった。
「選挙戦前の6月には、案里氏が自民党の県議と山口県内の大人向けのカップルズホテルに入るところを写真に撮られたという情報が流れたんです。噂話の範ちゅうだったにせよ、情報戦が激化していた」(前出・後援会関係者)
こうした「政界失楽園」の疑惑にも負けず、厳しい選挙戦を制し、ようやく議員バッジを手にしたが、案里氏の陣営がウグイス嬢に公職選挙法上の上限の倍額にあたる、日当3万円を払った疑いが浮上する。
「秘書らが逮捕された3月3日の夜には、広島地検が夫婦の関与を疑い、身を隠していたホテルニューオータニの一室を強制捜査。持ち物検査の際には、検察官の前で疑いを晴らすために、案里氏がみずから着ているものをすべて脱いだという話が複数の週刊誌で報じられました」(前出・後援会関係者)
いずれにせよ、これほど“艶っぽい話題”を永田町に振りまいたのは、後にも先にも案里議員一人かもしれない。