このように違法行為すらまかり通る魑魅魍魎が跋扈する政治の世界。それだけに、内閣人事に際しては“身体検査”で身ぎれいな議員を選ぶのが通例だ。第4次安倍改造内閣で12人が初入閣する中、総理の側近として知られながら、今回も漏れてしまった議員がいた。その理由を聞いてみると、
「見た目はさわやかなイケメンとしておばさん人気も高い。だけど秘書仲間の間では『3桁の秘書』と呼ばれ、今までに軽く100人以上が辞めています。学生時代は体育会系で、不満があればすぐに手を出すタイプ。学歴や経歴も詐称していると疑われていて、当選回数が多いのに閣僚になれないのは、就任した直後に恨みを持った秘書にいろいろと暴露されそうなので、危なくて指名できないからと言われています」(政治ジャーナリスト)
このいわくつきの政治家が有権者の前で笑顔を見せるたび、秘書はゾッと背筋が凍ってしまうのだとか。
さらには、かつて自民党総裁候補の一人として取りざたされたこともある大物議員は、せっせと「裏工作」に手を染めさせていた。
「そのベテラン議員の事務所には裏仕事専門の秘書がいて、当時、特定郵便局長が自宅を建てる際に、郵政省の公費で建設させるように口利きしていました。票と金を見返りにもらっていたので、郵政民営化の時には小泉内閣の方針に反対するしかなかったんです」(ベテラン秘書)
政治資金を調達する目的で開催される「政治資金パーティー」も、秘書にとってはつらいイベントだ。朝倉氏はこう説明する。
「議員は頭を下げるのが嫌なので、自分で売ろうとはせず、秘書にノルマを課す事務所も多い。チケットは東京なら2万円、地方は1万円が相場。それを100枚以上さばかないといけない。大企業に飛び込み営業しても、20万円を超えて購入したら収支報告書に氏名が公表されるのを嫌って、1、2枚しか買ってくれません。当日までにさばけなければ、秘書が自腹で負担することになります」
政治家が自費を投じて雇用する私設秘書は薄給のケースが多く、ノルマ分まで負担させられたら、まともに生活できないのが現状だという。
「議員の息子が秘書にいる事務所もやっかいで、ちょっと性格が合わないと、『お父さんの前ではしっかりしているけど、いない時はサボっている』など勝手にでっち上げてチクるんです。それで次の日に議員にどなられ、息子にも文句を言えなくて、ストレスはたまるばかりです」(朝倉氏)
ブラック議員のもとではほとんどの秘書は数日で姿を消し、半年も続けばマシだというから、そのブラックぶりがいかほどかわかるというものだ。