政治

渡辺喜美VS柿沢未途“おかしいのはオマエだ”(1)反乱分子となった懐刀を追放

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 自民圧勝の7月参院選でも順調に議席を伸ばした「みんなの党」。しかし、結党4年を目前に、突然、党の重職を更迭し、離党させる騒動が勃発した。本誌は当事者2人にインタビューを敢行。順調に見える党勢の背後で「紙爆弾」さえバラまかれる激しい暗闘があったことが語られたのだ。

「江田さんと柿沢さんは新党(結成)と(日本維新の会との)合流に向かって動いていました。だから更迭したのです」

 こう語るのは、みんなの党・渡辺喜美代表(61)である。静かな口調が“クーデター犯”へのいまだ収まらない怒りを感じさせた。

「自民圧勝と予想された今回の参院選後でも順調に議席を伸ばしました。現在では、衆参合わせて36名の国会議員を擁するまでになったのですが、結党4周年目前の8月7日、渡辺さんが党の重職2人を突然更迭したのです」(政治部記者)

 更迭されたのは、結党の中心人物の一人である江田憲司幹事長(57)と、柿沢未途政調会長代理(42)。みんなの党を中堅政党にまで成長させた原動力とも言える2人の粛清劇の裏には、こんな背景があった。

「この2人と渡辺氏との間には、日本維新の会への解党合流を巡る方針の対立があった。江田氏はまだ党にとどまっているものの、柿沢氏のほうは、渡辺氏が『この党から出ていってくれ』と迫り、翌日、柿沢氏は離党届を提出した」(前出・政治部記者)

 知名度がまだ全国区とは言えない柿沢氏だが、政治評論家の浅川博忠氏はこう評価する。

「政策をまとめるのはうまいし、国会では核心を突く質問をするなど貴重な人材でした。そういう人がこういう形で去るのは党にとって大きなマイナスです」

 一連の騒動について、江田憲司事務所では秘書が、

「今回の件でお答えすることはありません」

 と答えるのみだった。

 しかし党を追放された柿沢氏は、本誌の直撃に対して強い口調でこう答えた。

「周囲からは『そこまで(渡辺氏を)怒らせたんだから、相当悪いことをしたんじゃないの?』と言われるのですが、私には何も身に覚えがありません。このことは強調しておきたいし、党から追われてしまう対象にされるのは不本意です。ただ、江田さんと一緒の時に職を解かれていますから、渡辺代表の今のお考えと(自分たちの考えは)違うのだろうと認識はしています。参議院選挙後、党の改革を求める江田さんの動きに少なからず同調していたのも事実です。でも、その直後に党から『出て行ってくれ』と言われるとは思いもよらなかったです」

 そもそも柿沢氏を党に引き入れたのは他ならぬ渡辺氏だった。追放を言い渡した、もう一方の当事者である渡辺氏は何と説明するのか。

「4年前、お父様の柿沢弘治さん(元外務大臣)が亡くなられた直後に、柿沢さんが私のもとを訪ねて『国政に出たい』と言ってきた。その頃、彼は飲酒運転で自損事故を起こしてしまって都議を辞めていたのです。私の親父(故渡辺美智雄氏)と柿沢弘治さんのつきあいが長かったこともあり、『もう一回再起してやってみろ』と励ました。その年の夏にみんなの党ができて、結党前に私が勝手に柿沢さんを公認して発表しました。これに『(飲酒事故を起こした)傷物を公認するのは新党のイメージを傷つける』と、猛反対したのは江田さんでした」

 政治家としてはいわば「親」とも言える渡辺氏に、柿沢氏が“勘当”されてしまったのはなぜなのか。渡辺氏が続ける。

「柿沢さんは東京都議会の会派分裂に関与したことを否定しますが、分裂の当事者は都議会議員で彼の奥さんでもある野上ゆきえさん。会派の異動届が無断で出されたことなど、彼女を含めて当事者にヒアリングしましたが、維新の会との会派合流を考えていた柿沢さんは分裂の結果責任が問われます」

 東京都議会の会派分裂といえば、6月の東京都議会選挙で「みんなの党」は7人が当選し、7月23日から新しい議員の任期が始まった。だが、そのわずか2日後に新人4人が「幹事長の人選で折り合いがつかなかった」ことを理由に新会派を結成し、早くも会派が分裂するありえない事態になった。その混乱を招いた中心に、野上氏がいたのだ。

◆アサヒ芸能9/3発売(9/12号)より

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