屈強な男たちがタバコを吹かしながら捜査にあたるのが刑事ドラマの原風景。だが、一服の清涼剤となるオンナ刑事もまた、確実に存在した。
紅一点の元祖となったのは、「太陽にほえろ!」(72~86年、日テレ系)のシンコこと関根恵子(65)=現・高橋惠子=だ。登場時は七曲署少年課の婦警だったが、むしろ強盗や殺人事件に関心があり、捜査一係への配属を果たす。
シンコはジーパン(松田優作)との結婚が決まって退職するが、ジーパンの壮絶な殉職により、花嫁姿は幻となってしまった。
シンコに続いたのは、マミーを演じた長谷直美(64)だ。七曲署交通課の婦警で、ロッキー(木之元亮)と結婚して双子の男の子をもうける。長谷は本誌に、その後の顛末をこう語った。
「準レギュラー時代も含めれば、10年も出ていたんですよ。ロッキーが殉職したことで遺志を継いで捜査一係に転属します。婦警時代は、じゃじゃ馬のような性格が持ち味だったけど、それが母親となって『マミー』と呼ばれてからは、女性らしい気配りや優しさが捜査にも反映されていました」
オンナ刑事の宝庫と呼べたのが「Gメン’75」(75~82年、TBS系)だ。いずれもモデルのような長身でシャープな美女という共通項があり、藤田三保子、元ゴールデン・ハーフの森マリア、夏木マリ、中島はるみ、セーラ・ロウエル、范文雀、江波杏子らが名を連ねている。初代の響圭子刑事を演じた藤田三保子(67)がのちに、語ってくれた思い出とは──。
「私のキャッチフレーズは『パッショナブルな女』で、パッション(情熱)とファッショナブルを掛け合わせていました。モデル体型の女刑事が多かったのは、単純にプロデューサーの趣味だったんでしょう(笑)。その前の朝ドラ『鳩子の海』(74年)に続いて高視聴率ドラマに出演できたことは幸運でしたね」
異色の作品が「大激闘 マッドポリス’80」(80年、日テレ系)だ。日本のヤクザ社会が1つに統合され、さらに海外のマフィアと結託して「ジャパンマフィア」を形成。これに対するのが、警察庁の精鋭部隊「マッドポリス」というふれこみだった。
梅宮辰夫、渡瀬恒彦、志賀勝ら東映系の役者が顔をそろえたが、紅一点の緑川悠子を演じたのが、クラリオンガールだった堀川まゆみ(62)である。容姿端麗で英語もこなせるバイリンガルであったが、見せ場は別にあった。
堀川はたびたびジャパンマフィアに捕らえられ、イスに緊縛されるシーンが多かった。のちにヌード写真集で見せたみごとなプロポーションを、縄に縛られて予感させたのである。