コロナ禍により6月7日から放送を休止していたが、ついに8月30日から放送再開となった今年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。群雄割拠の戦乱ドラマでも楽しみなのが、美女たちの存在。本作で「艶技力」を発揮する戦国美女5人の名ベッドシーンを、映画評論家の秋本鉄次氏がプレイバック!
明智光秀を演じる長谷川博己の正室・煕子役を担うのは、木村文乃。息の合う2人だが、それもそのはず、実は13年放送のドラマ「雲の階段」(日本テレビ系)で、すでに夫婦を演じていたのだ。原作は官能の名手である渡辺淳一。秋本氏によれば、「宝塚退団直後の黒木瞳が映画『化身』で完脱ぎして非常に大胆に濡れたように」当時も木村に対する艶めいた期待感が寄せられていたというが、木村はそみごとに応じた。
酒に酔った長谷川を強引にホテルへ連れ込むと、ベッドに彼を押し倒し馬乗りに。すると長谷川のシャツを脱がし、下半身にまたがるや、馬乗りで腰をこすりつけ、感じているようにほほえむのだった。こうした「プレイ」の過去があるからこそ、息もピッタリの仲むつまじい今があるのだろうか‥‥。
もうひとりのヒロインで視聴者人気の高い戦災孤児・お駒を演じる門脇麦は、過去のベッド場面に裏打ちされた演技力が光る。
「試写で『愛の渦』(14年、クロックワークス)を見た際、彼女はまだ無名で、第一印象は『美人なのかそうじゃないのか、不思議な女優だな』でした。まさか、あんなたまげた演技をするとは‥‥。『すごい! ここまでやるのか!』と、声を出しそうになったほどです」
門脇は“乱れ交わる”のが趣旨のサークルに参加する性的欲望の強い女子大生を演じ、池松壮亮に激しく突かれ「ああぁあぁぁぁんッ!!」とメス猫のようにアエぐ。小さめのバストトップをツンと硬くさせ、腰を上げ男を迎え入れる。さらにみずから逆向きに馬乗りになり「せんぱあぁぁい!」と、獣のような叫び声を上げる。
最もイヤらしいのは、池松との仲が深まったあとの“交わり”だ。正対して密着したまま、ピチャピチャと音を立てながら互いの唇をむさぼる。こうした度胸のよさが「今の人気を確立した要因」だと、秋本氏は分析する。
本木雅弘演じる斎藤道三の側室・深芳野役は、熟した艶が宿る南果歩。映画「不機嫌な果実」(97年、松竹)で全脱ぎでの不貞情事に挑み、映倫から成人向け指定を受けたほどの艶技を見せた。
根津甚八とホテルのベッドにマッパでもつれ込み、“挿入”の瞬間に「許して…」とつぶやき、鈴木一真には美胸を愛撫され、ビクンと体を震わせながら、さまざまな体勢で絡み合う。ドラマでの妖艶さは、こうした下積みがあってこそなのだ。
放送休止直前の「越前編」より登場している旅芸人一座の女座長・伊呂波太夫役を演じる尾野真千子は、NHKの朝ドラ「カーネーション」でブレイクする前にマッパ慰め行為に挑戦している。秋本氏も「あれから脱いでいないし、超貴重なお宝です」と言うほどだ。
それは10年公開の映画「真幸くあらば」(ティ・ジョイ)。月明かりのみの一室で全脱ぎ姿になり、ベッドに膝をついて自身の体を優しくなでる。しだいに美バストから、硬く主張した大きめのトップ、そして艶かしい曲線を描く下腹部に手をあてがい、絶頂に達して天を仰ぐ─。秋本氏はこれを今で言うなら『リモート』の慰め行為だと指摘する。
さて、織田信長の正妻・帰蝶役は当初、沢尻エリカだった。しかし、法律違反の薬物を巡る取締法違反で逮捕されたことで、川口春奈が代役を務めることに。
秋本氏によれば、沢尻は映画「人間失格 太宰と3人の女たち」(19年、松竹)で“セミ”の浴槽で向かい合って座る体勢で絡んでおり「扇情的でした」という。「あの事件がなければと、本当に悔やまれます」
紆余曲折を経た「麒麟がくる」の女たちは、最終話まで見逃せない。