広島に実在する劇場を舞台にした映画「彼女は夢で踊る」(時川英之監督)がコロナ禍を乗り越え、公開の運びとなった。映画関係者が話す。
「主演は国際派俳優の加藤雅也(57)で、ヒロインは『第59回ブルーリボン賞新人賞』を受賞している岡村いずみ(30)。さらに『仮面ライダービルド』や現在放送中のドラマ『24JAPAN』で悪役に初挑戦しているイケメンの犬飼貴丈(26)らも出演しています。スペインの『マドリード国際映画祭』で審査員賞を受賞している注目作品です」
同映画は実在する「広島第一劇場」を舞台にしたラブストーリーで、加藤が劇場の名物社長、犬飼がその社長の青年期、岡村は踊り子を演じている。映画評論家の秋本鉄次氏も次のように絶賛している。
「劇場の小史と関係者の泣き笑いを実録風フィクションでつづっていく手法が心地いいですね。社長役の加藤がこれまでのクールな二枚目ぶりを一新、やや前額部が後退気味の『ヒゲに眼鏡、関西弁のおっちゃん』役を演じて新境地を開いていますし、社長の若き日を演じた犬飼も劇場に引かれる純粋な若者を好演。さらに岡村はミステリアスな踊り子を2役で熱演し、『浅草ロック座』の代表的な踊り子・矢沢ようこ(43)が松山千春の『恋』をバックに魂を込めて踊る姿は絶品。彼女たちの踊りに年がいもなく身を乗り出したほどです」
実はこの映画、今春から全国公開される予定だったが、コロナ禍により不透明な状況に…。矢沢ようこも「広島での先行上映が好評でしたから、とても残念な気持ちでした。早く皆さんに観ていただきたかったですし‥‥」と心を痛めていたが、10月20日に「浅草ロック座」では初となる映画の舞台挨拶が行われ、10月23日に公開の幕が上がる。
「ヒロインを務めた岡村さんのステージはエキストラを入れて撮影されたのですが、終わったあと『このコはいつデビューするの?』と、現役の踊り子さんと間違える方が大勢いたぐらい魅力的でした。実はその岡村さんに踊りを指導したのが矢沢さんなんです。矢沢さんは『動きの一つ一つを自分が思う50倍のスローモーションで表現するといい』とよく話されていましたね。矢沢さんといえば『魂のこもった踊り』に定評がありますから、そのあたりも岡村さんがうまく吸収したのだと思います」(前出・映画関係者)
映画ファンも踊り子ファンも楽しめる映画「彼女は夢で踊る」は10月23日より、東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショーとなる。