中高年になると目のトラブルを訴える患者が少なくない。そうした中で急増しているのが「涙液トラブル」だ。聞き慣れない人も多いだろうが、これは涙液の不具合が原因で起こる目の不快症状。眼科医が啓発委員会を立ち上げ、アイケアの重要性を訴えているほどなのだ。
涙には角膜や目の表面の組織を潤し、乾燥から守る役目のほかに、目の表面組織に栄養や酸素の供給、外界からの菌や異物からの保護、角膜の表面の凹凸を滑らかな曲面にしてキレイな画像を脳に送る、などの重要な役割がある。
「涙液トラブル」の原因は、パソコンやスマホの長時間利用やコンタクトレンズの使用、加齢に加えて、空気の乾燥、ストレス、夜更かしなどが挙げられる。
この病気はセルフチェックでも判断できる。「PCを毎日連続1時間以上見る」「通勤時にスマホをいつも見る」「スマホで動画をよく見る」「平均睡眠時間が5時間以下」「朝から目がかすむ」「光がまぶしい」「目が重たい感じがする」「目が痛いことがある」「目を10秒以上開けていられない」「目がショボショボする」「コンタクトレンズを使用している」「寝ても疲れ目が解消しない」の12項目のうち、5つ以上該当する場合は、「涙液トラブル」の可能性が高い。
予防法は、意識的にまばたきの回数を増やすことがポイントだ。パソコンを使用する時は、1時間に15分ほどの休憩を心がけてほしい。メガネやコンタクトは度の合ったものを使用し、目薬をさしたりして目の疲れを取るケアも忘れないで。
疲れ目を解消するためにサプリメントを使用する人もいるが、サプリメントよりも、軽い運動で血行を改善するほうが有効だ、と語る眼科医は少なくない。目の健康のためにも、適度な運動を日常に組み込んでいきたいものだ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。