チームの正念場で三振ばかり。打っても併殺打でチャンスを潰す。打席に立てどもヒットが出ない‥‥。バットを振れば振るほど期待を裏切り続けた戦犯打者はいったい誰だ!
まずは、チームの負け試合という肝心な場面で三振し続けた選手たちを見てみよう。
1位、2位には陽岱鋼、アブレイユと日本ハムの主軸が仲よくランクイン。日本ハムといえば、昨年の優勝から一転、32年ぶりの最下位転落というまさかのズッコケぶりを見せたチーム。打線の要である陽とアブレイユのダメダメぶりは、まさに今年の日本ハムの戦力を如実に表していると言えよう。
前出・橋本氏が言う。
「2人の成績が日本ハム最下位の要因になっているのは間違いない。楽天はジョーンズが77回という三振数を出しながらも銀次やマギーといった他の選手たちがカバーし、優勝までこぎつけた。反対に日本ハムは2人ともが不調で補い合えなかった。アブレイユは、ホームラン王として貢献している部分があるが、陽は地味にチームの負けに貢献している」
また、前出・伊原氏は陽の三振数の多さをこう分析する。
「陽岱鋼はいい時はスコスコスコーンと打つけど、悪い時はまるでスカ。性格なのか安定感がない。早打ちタイプで、最初の打席の1~2球目でヒットを打つといい気分で固め打ちができる。その半面、粘り強さはない」
就任2年目の栗山監督は日本ハム最下位について「全て自分の責任」と釈明したが、この言葉、監督だけに当てはまる話ではないようだ。
続いて、負け試合での併殺数の多い選手たちに注目してみよう。単なる併殺数だけなら26回で中日の和田一浩が両リーグトップだが、負け試合のランキングとなると阪神のマートン、DeNAの中村紀洋が15回で1位を分け合った。マートンと中村は打順的にも長打力を期待されている選手だけに、勝利への非貢献度は高いと言わざるをえない。
「名前のあがっている選手たちは、本来なら右にも左にもうまくヒットを打てる選手ばかり。技巧派の選手は三振ではなく、バットにボールを当ててしまったというケースが多い。強引にホームランか三振か、あるいは引っ張り専門の打者は案外ゲッツーにはならない。しかも全員が右打者。左打者はよほど足が遅くないかぎり併殺にはなりにくいんです」(前出・野田氏)
攻撃の足かせになった部門では、「4タコ王」も欠かすことはできない。4タコの数は、そのままチームのチャンスを潰した数でもある。最多は負け試合三振王でも1位を獲得した日本ハムの陽岱鋼。続く2位は今年、圧倒的な強さを見せた巨人にあってブレーキが目立った坂本勇人。さらに3位には芸術的な守備を見せる広島の菊池涼介が登場。いずれも“俊足”を売りにする選手ばかりだ。
「4タコ王にランクインしている選手は、マートン以外は全員早打ちでしょう。データに如実に表れるね」(前出・伊原氏)
だが、前出・橋本氏はランク下位であるソフトバンクの松田、阪神のマートンに注目する。
「上位選手はいずれも先頭打者。その点、マートン、松田はクリーンナップだから、この4タコの数はツラい。特に阪神は西岡がチャンスメイクして、マートンで得点するというのがお決まりのパターンだったからなおさらですね」
打順の流れを止めてしまう「A級戦犯打者」の数もまたチームの成績に直結するようである。