元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
コロナ感染対策として政府が打ち出した「勝負の3週間」が明けても、感染拡大に歯止めがかかるどころか、拡大しています。西村康稔経済再生相が国民に自主規制を呼びかける一方で、菅義偉総理みずからが15人、8人という大人数での会食をハシゴしたことが明るみに出て、国民の不信を買う事態にもなりました。
さらに土壇場で「GoTo中止」というドタバタ劇。これはお粗末であり、またしても国民にツケを払わせる結果を招いています。年末年始のお客さんできっと復活できる、と期待していた観光産業や飲食店の落胆はこの上ないでしょう。
日本のコロナ問題は、経済を再生しなくてはいけない西村大臣がコロナを担当しているわけですが、そもそも西村さんをコロナ担当に任命したのは安倍前総理です。その時点では、コロナ対策と経済対策を両立できると踏んでいたのでしょうが、医療業界をはじめ、さまざまな声に対応せざるをえず、西村大臣だけでは国民を納得させられない‥‥と菅総理が期待をかけて投入したのが、田村憲久厚労相だと思われます。最近、田村さんをテレビでよく見かけますもんね。こうした対応の指示を出しているのはもちろん、菅総理です。
菅総理は職務をまっすぐ、淡々とこなすことで知られています。つまらないと言われようが人になんと思われようが、やるべき一手を決めて打つ。それは菅総理自身の行動にも現れており、ほぼ毎日同じことをしてほぼ毎日同じものを食べるような人なんです。つまり、まったくブレがない。
しかしここにきて、よもやよもやのブレまくり。ほとんどひとりで決めてきたのに周りに振り回されているんじゃないかと、僕も心配になって加藤勝信官房長官に問い合わせたところ、
「総理はお変わりないですよ。コロナも大変だけど、それより宮崎君はあの問題、大丈夫ですか。テレビに出られなくなったら、家族が大変じゃないですか」
と、僕の生活を心配してくれました。さすが総理の女房役、気遣いに抜かりがありません。
そうはいっても、菅総理もやはり人の子。支持率の急降下はこたえていると思います。加藤官房長官は僕の心配をすることで総理の様子の説明をごまかしたのではないかと気になり「首相動静」をチェックしてみたところ、昔と同様の行動が見られました。それは、朝と昼は永田町にあるザ・キャピトルホテル東急の「ORIGAMI」か、虎ノ門の「The Okura Tokyo」の「オーキッド」。夜も「The Okura Tokyo」の中華料理「桃花林」あるいは「オーキッド」。食事は同じところで、やっぱりぐるぐると回しています。
この部分ではブレない菅総理。昔から「ORIGAMI」での朝食は、パパイヤ。メニューにあるフルーツの盛り合わせは2662円。それを「菅スペシャル」として、パパイヤをメインにしてもらっているそう。イチゴ農家出身なのに、なぜパパイヤなのか‥‥。
一国のトップには、考えられないほどの重圧があるでしょう。なおかつ、この状況です。「首相動静」をチェックして、もしこのルーティンにもブレが生じ始めたら、それは菅政権が危険水域に入ってしまう「サイン」かもしれません。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。