元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
菅総理の息子さんのニュースを見た時、とても驚きました。問題が取り沙汰されるちょうど1週間前、とある企業の経営者が、
「菅さんの息子さんが一般企業で働いていてさ、いろんなことをお願いすると叶えてくれちゃうんですよ」
と漏らしていたから。あっ、このことか、と。安倍前総理の奥様もそうですけど、結局、本人に頼んでもしようがないことを家族にお願いする、というパターンは健在なんですね。親が総理大臣だなんて聞いたら周りが利用しようとする、勝手に忖度し始める。当たり前でしょう。
僕も議員時代、官僚との飲み会は時折ありました。だいたい場所は、霞ヶ関のドイツ料理レストラン「ケルン」。若手官僚との食事はここだ、というのを先輩議員が教えてくれました。
気の合う官僚を見つけたら、すぐに勧誘。「今日は好きなだけ食べていいぞ」と大風呂敷を広げて接待していましたし、満腹中枢が壊れるほど飲んで食べて、それでも7000円くらいでしたかね。日によっては銀座の「テング酒場」のケースもありましたけど、だんだんお金が回ってくると、お店がグレードアップしていくというのが常。やっていることは一般企業や個人事業主、みんな一緒でしょ。
でもね、今回の接待問題。僕が疑問に感じたのは、なぜ個室ではなく、オープンスペースでそんな会食を開いたのか、ということです。菅総理の息子さんは冒頭で指摘したように、一般企業の社長さんまでもがお願いしてしまうくらい派手に動いていたということなので、もう少し気を遣うべきなのではと考えます。とある官僚に今回のことを聞いたら、
「あの方たちは運が悪かったね」
と嘆いていましたから。誤解を恐れずに言えば、反省すべきは接待ではなくオープンな場所。官僚にもよりますが、そういった利害が発生する話は、立ち話だったらいいというフシもあり、事務所で立って飲んでいる会合もあるほどです。
一般企業もそうですが、キラーカードを持っている(もしくはキラーカードそのものの)人とご飯に行きたいと思うのは人間らしいですよ。大臣たちの会合に誘われたのに断るなんて言語道断、という山田真貴子節は、実際に官僚たちの間では当たり前だそうです。
かつて僕も渦中の山田さんとの接点がありました。勉強のためにシリコンバレーに行きたいと、米国に強い中曽根弘文参院議員に相談したところ、登場したのが山田さん。人脈を駆使してアレンジしてくれたのですが、シリコンバレーへ飛ぶ寸前で衆院解散となり、頓挫したことが。ささっと手配をする仕事っぷりは存在感があって、将来は女性事務次官になると、その頃から期待されているのがわかりました。まさに総務省のホープとは仲良くなりたかった(笑)。
さて、国会の参考人招致に応じて、7万4000円もの高額接待を受けた件について釈明した山田さん。これから彼女がどうなるのか。今号発売時、まだ彼女が内閣広報官の地位にステイしていたら、未来はあるでしょうが‥‥。
僕の官僚との食事会は7万円コースには至らず「ケルン」止まりだったからこそ、「アサ芸」での連載を実現できました(笑)。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。