元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち、6人が任命されなかった問題、案外長引きそうですね。泥仕合になっていますが、その泥仕合には2つのテーマがあると、僕も考えています。まずテーマAを「政府の任命」、そしてテーマBを「学術サイドの意見」とします。
テーマAは、一部野党側が指摘しているような「6人を除外した理由と流れ」という側面。菅総理は一時期、「任命されなかった6人を含む105人の名簿は、見ていない」と発言しましたが、翌週には「日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち、排除した6人を事前に把握していた」とメディアが発表。これには杉田和博官房副長官が拒否の判断に関わっていて、一方で加藤勝信官房長官が「105人から6人を除く99人が載った名簿は見せた」という趣旨の事実を発表。ここにも問題発生です。
本当に官房副長官が判断したのだとしたら、ここも解明しなくてはいけないのですが、加藤官房長官の「何人から何人を引いたら残りは何人?」といった計算問題のような発言は、ごまかしのように見えます。本質として重要なのは「言った、言わない」の水かけ論ではなく、「任命のルールがなかった」ということ。野党の揚げ足取りも明らかです。
次は、テーマBです。これに関しては、そもそも日本学術会議がどんな組織なのか、国民に明確な説明がなされていないことに首をかしげます。「内閣府に属し、日本の科学の向上発展を図って、優れた研究、または優秀な科学者が選考基準とされている組織」らしいのだけれど、特別国家公務員に属し、身内推薦により会員が構成されているとか。身内推薦ですよ!? さらに経費として、会員に対し10億円強の国の予算が投じられているのに、具体的に何に使われているかが、明確になっていません。
例として、学術会議が反対している「国際リニアコライダー実現化」のことを挙げてみましょう。リニアコライダーは世界的なプロジェクトとして、国際的に推進されている次世代の直線型衝突加速器(電子と陽電子を衝突させる実験装置。宇宙や時空の謎解明につながる)なのですが、日本はその技術面において最先端を担っています。これが実現すると、日本は世界的により尊敬される国となりますが、なぜか専門分野であるはずの学術会議側が実現に反対しており、理由は文科省との予算の奪い合い、との見方が出ています。
つまり、テーマAとBのどちらにもルールがない中、「欲」ばかりが浮き立ち、指摘する問題がクロスしてしまっているわけです。
解決策としては、僕はまずテーマBを調べるべきだと考えます。多額の国費が投入されているのに、どういう決め方をしているのかわからない。こういった国の団体をあぶり出して見直していけば、国民に還元できる予算が増えるのではないかというわけです。
これは学術会議に限っての話ではありません。まず組織の運営や人選にあたっては、ルールがなくてはいけないとは思いませんか。きっと数億円単位で見直しができると思います。そうすれば「GoToキャンペーン」の予算が削減されたのが、また元どおりになるかもしれませんよ。って、ここも怪しいので、いずれ調べておきます。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。