元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
前回でも触れましたが、「自民党のマツジュン」こと松本純議員を筆頭とした「ザ・3名様ご一行」が銀座のクラブをハシゴ。それを聞いた菅総理が、
「キミたちはこの緊急事態宣言下において、いったい何をやってるんだ! この不届き者がぁ!」
と、あのトレードマークともいえる八二分けの髪の毛が反対側に逆立つほど、怒ったと聞きます。
でもね、僕はちょっとマツジュンさんを庇いたいです。というのは、あの報道が出た当初、彼は「ひとりで銀座へ行った」と嘘をついていましたが、僕は、
「あっ、やっぱりな」
という印象なんです。彼は昔からそういうところがあって。部下からもとても慕われていて、人のせいにしないで他人を庇うくらい男気がある性格。いや、嘘はよくないですよ。よくないのですが、「一緒に行った後輩をなんとか守りたかった」という発言は言い訳ではなかった気がするんですよね。「困っている銀座の人たちの陳情を受けに」というのも、嘘じゃなかったんじゃないかな‥‥。でも、このタイミングではダメでしょ。僕だって我慢してるのに。どうやっても、事実は隠し通せないものです。
銀座のクラブには既に、記者たちによる包囲網が張り巡らされています。「議員と企業経営者が来たら、すぐに連絡するように」と黒服や従業員に通達が回っていると聞きますし。銀座のプロってもっと口が堅いはずだったのに、リークして大丈夫? コロナ終息の際には、銀座にもう来なくなっちゃうよ‥‥という銀座側への心配はさておき。
とうとう、あの3人は島流し(離党)になってしまいました。ほとぼりが冷めてから復帰させようにも、この国難の今、支持率が急降下している状況で、問題を起こした議員をまた受け入れる余裕は、自民党にはないでしょう。そんな時に無所属になるなんて、3人にとっては大波乱。とはいえ、田野瀬太道議員は先代からの地盤を引き継いでいる(奈良3区)ので盤石、安泰とまでは言いませんが、「復活」のチャンスはあるかもしれない‥‥。
「まったく、あいつらはどうかしてる」
おそらくそんなことを呟きながら、菅総理は昨年末からずっと、公務以外は引きこもっている状態です。夜はもちろん、朝食やランチでも外に出ず、粛々と赤坂の衆院議員宿舎で側近ら4、5人を上限に、集会を開いているのだとか。ご飯やお酒が出ているかは不明の、略称「赤宿の会」。ある時、その会で菅総理が、
「どうやったら目に見えてコロナ時代を乗り越えられるのか」
と発言。すると出席者の小泉進次郎環境相が、こう進言したといいます。
「これはもう、ワクチンしかないですよ」
自民党内でも「菅政権とは距離をおいた方がいい」と、まことしやかに囁かれ始めている中、小泉さんは、
「僕は菅総理にはお世話になっていますから、ますます何か力になりたい」
そこで提案したのが「ワクチン大臣」だったということ。これは流れ上、ワクチン大臣を作ったのは小泉さんということになりますが、実際には河野太郎さんが任命されました。
ちなみに「赤宿の会」には、コロナ担当の西村経済再生相は一度も出席していないようです。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。