それは11月2日(土)にオンエアされた「FNS名曲の祭典」(フジテレビ)での4時間生放送の冒頭だった。オリコンが誕生した68年から昨年までの「年間売上げ1位」を一挙に紹介するという企画で“異変”が起きる。
それまで年度1位曲の貴重なVTRを20~30秒ずつ流していたのだが、93年に240万枚を売り上げたCHAGE&ASKAの「YAH YAH YAH」に関しては歌の場面は無し。いや、わずかに流したイントロも妙な処理がされているし、アーティスト名にも微妙にモザイクがかかっている。同曲がフジテレビのドラマ「振り返れば奴がいる」(93年)の主題歌だったことも考えれば、何とも冷たい仕打ちである。
さらに球場でも異変は続く。西武ライオンズで「左のおかわり君」と呼ばれてブレイクした坂田は、シーズンの最終戦まで「YAH YAH YAH」をテーマ曲に使用。ファンも拳を突き上げる名場面になっていたが、CSに突入するとハウンドドッグの「ff(フォルティシモ)」に突如として変更。チャゲアスは同球団とは縁が深く、かつては「Vのシナリオ~吼えろライオンズ!~」(85年、歌唱はばんばひろふみ)という応援ソングまで提供しているのに、冷たい仕打ちである。
もう1つ、10月に公開された中国版の「101回目のプロポーズ」も、主題歌は大ヒットした「SAY YES」をカバーしたものであったが、これも直前になって差し替えられている。
いずれのケースもASKAの薬物報道に端を発してのものだが、まだ検挙されたわけでもないのに、何とも非情である。もしくは「取り返しのつかなくなる前に」という次善の策であろうか‥‥。