長嶋茂雄監督率いる巨人、王貞治監督率いる福岡ダイエーホークスによる2000年、すなわち20世紀最後の年の日本シリーズは、巨人「V9戦士」の王・長嶋の「ON対決」として注目を集めた。1、2戦目はダイエーが先取するも、巨人がその後4連勝で逆転日本一に輝き、「ON対決」は長嶋監督に軍配が上がった。
このシリーズ、松井秀喜氏が3本塁打、8打点の活躍で最高殊勲選手賞を受賞したのだが、意外だったのは投手陣から選ばれた「優秀選手賞」である。槙原寛己氏、斎藤雅樹氏、桑田真澄氏といった三本柱に加え、上原浩治氏、工藤公康氏(当時は巨人)といった錚々たるメンバーの中、「2勝2敗」で迎えた5戦目に登板し、史上10人目、巨人の投手としては5人目の日本シリーズ初登板初完封を飾った、高橋尚成氏が選出されたのだ。
お笑いタレントのレッド吉田らが司会を務めるYouTubeチャンネル〈こちら野球放送席〉の、4月1日付けで〈【長嶋茂雄・王貞治】伝説のON対決!2000年日本シリーズの裏側を高橋尚成さんに聞きました!【コラボ】〉と題して公開した投稿回に高橋氏が出演。もし「1勝3敗」になっていたら、5戦目は斎藤氏が有力視されていたことから、4戦目が終わるまで翌日の自身の登板は確定ではなかったと当時を振り返った。
ルーキーイヤーだった高橋氏は「3回4回でノックアウト食らっても、誰も責めないだろうなあ…」と緊張してガチガチということもなく、気楽にマウンドに上がれたと語り、またその年のダイエーとのオープン戦では5回無失点。1つの安打も許すことのないピッチングだったことから、「いいイメージ」が頭にできていたとも明かしたのだった。
昨年の日本シリーズでは、気負いすぎてソフトバンク相手に4連敗に終わったようにも見えた巨人。今年、日本シリーズに進出した際には、ソフトバンク撃破の糸口になる話かも…と思える興味深い回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)