今年で16回目と、歴史の浅いヴィクトリアマイルではあるが、同じ舞台装置(東京の芝マイル戦)といっても、先週の3歳若駒による一戦とは違う。牝馬同士とはいえ、各世代の個性豊かでマイル戦を得意とするスターの競演。見応えある激しい競馬が期待できるとともに、馬券的にも興味を引くGI戦だ。
豪華な顔ぶれの筆頭は、何と言ってもグランアレグリアだろう。前走の大阪杯は期待に応じられず4着に敗れたが、4カ月ぶりの実戦で、しかも道悪競馬。しまいの切れが見られなかったのも、やむをえない結果だった。
しかも今回は最も得意とする東京のマイル戦。昨年の安田記念では、あのアーモンドアイを寄せつけずに快勝したことを思うと、休み明けを一度使われた今回は、掛け値なしの不動の本命と評価していいだろう。
そのグランアレグリアを包囲する面々もなかなか。デゼル、テルツェット、マジックキャッスル、ランブリングアレー、レシステンシア、マルターズディオサなど、どの馬も虎視眈々。スキあらば──というところだ。
実際、よく荒れるGIでもある。過去15回で、馬単による万馬券は7回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着0回)で、1、2番人気馬のワンツー決着はわずか1回のみ。データからも簡単でないことがわかる。
そしてもうひとつ、4歳馬が圧倒的な活躍をみせていることだ。これまで8勝、2着11回は群を抜いており、続いて5歳馬の5勝、2着3回。6歳馬になると連対率がガクンと落ちて1勝、2着1回だ。牝馬は早熟、早稲が多いが、このGIは、高齢馬の過信はより禁ずべきだろう。
さて穴党としては、グランアレグリアをはじめとする人気どころに重い印を打てない以上、生きのいい4歳馬に目を向けてみたい。最も期待を寄せたいのは、リアアメリアだ。
近走の成績がイマイチだけに人気はないが、軽く見てはいけない。新馬─重賞を連勝。クラシック戦線で常に注目されてきた力量馬であり、要は持てる力を発揮できるかどうかだ。
なので状態のよしあしが問題となるのだが、この中間は大幅な良化ぶりを見せている。1週前の追い切りは軽快かつリズミカル。しまいの伸びも鋭かった。
「馬体が締まって実にいい雰囲気。それに、ひ弱さが影を潜め、本当にたくましくなった」と、厩舎スタッフが口をそろえるほど。
休み明け3戦目となる今回は、これまでと一変した走りを見せてくれていい。
母リアアントニアは、BCジュヴェナイルフィリーズを制したカナダの2歳女王。近親にも活躍馬が多くいる血統馬だけに、ここで勝ち負けになっても何の不思議もない。
これまで3勝のうち2勝をあげているように、マイル戦は最も得意とするところ。同じ舞台のGIIIアルテミスSを制し、オークスでも僅差4着の実績が示すように東京コースは好相性だ。今回は走れる条件がそろっており、良馬場条件に大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、マジックキャッスルだ。こちらも叩き3戦目。しかし休養後の充実ぶりはすごい。愛知杯を勝ち、続く前走の阪神牝馬Sでは、今回人気のデゼルと大接戦。クビ差の惜敗だったが、内枠で包まれ、スムーズさを欠く場面も見られたことを思うと、コース取りの差と言ってよく、まともだったら、と惜しまれる好内容だった。
久々のマイル戦で対応できたのは評価してよく、この中間も順調そのもの。輸送で減っていた体重は元に戻っており、好走必至とみていいだろう。