2歳女王の座に就くのはどの馬か。今週のメインは2歳牝馬による阪神ジュベナイルFだ。
リアアメリア(アルテミスS)、レシステンシア(ファンタジーS)、そしてウーマンズハート(新潟2歳S)の3頭の重賞勝ち馬が人気を分け合う形。いずれも2戦2勝の土つかずで、実績から最有力候補とみられて当然だ。
しかし、どうだろう。ウーマンズハートは3カ月半ぶりの実戦。ハナからここを目標としており、「乗り込み量は十分」(西浦調教師)だそうだが、やはり仕上がり状態は気になるところ。また、リアアメリアはアルテミスSが前走比20キロの体重増での競馬だっただけに、2走ボケの不安がある。
そしてレシステンシアだが、スピード豊富も強烈な決め手があるわけではなく、これまでの2戦から1ハロン延びるマイル戦の距離でどうか、の懸念がある。
というわけで、3頭とも絶対視するわけにはいかないのだ。
しかも多頭数競馬必至のGI戦で、ハナから激しい流れが予想されるうえ、伏兵視される馬も多い。簡単に人気どおりに決まるとは思いがたい。
まず、データをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は3回)。しかしこの間、1番人気馬は6勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着3回)。1、2番人気馬のワンツー決着は、わずか2回。過去のデータでも明らかなように、波乱含みのGI戦と捉えていいのではないか。
穴党としては当然、伏兵陣に目をつけてみたい。最も期待を寄せたいのは、ジェラペッシュだ。
まだ1勝馬の身で、前々走のサウジアラビアロイヤルCでは4着と完敗している。しかし、この時は未勝利戦勝ちから一息入ったあとの競馬で、レース前のイレ込みがキツく、スムーズにスタートが切れなかった。それでもレコード決着の中、しぶとくしまい伸びてきたことを評価したい。
それに前走の赤松賞は、高い素質をうかがわせた一戦だった。馬群の後ろで上手に折り合い、最後は外からグイグイと伸びて勝ち馬とはコンマ1秒差の3着。「力は確か」と言っていいだろう。
「一戦ごとに力をつけてきている。まだ伸びしろ十分で、今後が楽しみな素質馬」と、尾関調教師をはじめ、厩舎関係者のこの馬に対する評価も高い。
2歳牝馬だけに関西までの長距離輸送が気になるところだが、厩舎スタッフの一人は「牝馬にしてはカイバ食いが旺盛で、問題ないはず」と話す。
1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。仕上がり状態のよさは明らかだ。
父ワールドエース(皐月賞2着)は、マイラーズCで芝1600メートルのレコードを樹立した馬。母の父スウェプトオーヴァーボードもスピード色が強い種牡馬。加えて母系もよく、コダマ(皐月賞、ダービー)ほか活躍馬が多く出ている日本屈指のシラオキ(フロリースカップ系)の系統。頂点に立つにふさわしい血統馬である。
未勝利戦では逃げて勝ち上がったが、本質的には差してよしの自在脚質。どんな流れにも対応できそうなことも強調したい。
今回は吉田豊騎手から幸騎手に手替わりするが、「クセのない馬」(尾関師)だけに問題はあるまい。道悪になっても大丈夫そうな走りで、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。