◎守澤太志/○松浦悠士/▲郡司浩平/△古性優作/佐藤慎太郎/村上義弘/諸橋愛/稲川翔/小松崎大地/野口裕史/松本貴治/高橋晋也
差し一本で戦う選手が本領を発揮するのは、ラインが鉄壁なレースだ。「函館記念」(5月15日【土】~18日【火】)は、昨年はコロナ禍で中止になったため、2年ぶりの開催になる。やはりSS班が中心になるが、各地区に機動型と追い込み選手がバランスよくそろった。いかにも競輪らしいライン戦が期待できる4日間になりそうだ。守澤太志に今年初優勝のチャンスが巡ってきた。北日本は1車だった川崎全日本選抜決勝戦で、ワンツーを決めた地元勢を追走して3着するなど、クレバーな競走が目を引く。今回の北日本は高橋晋也─小松崎大地─守澤─佐藤慎太郎の強力4車。絶好のポジションから高橋─小松崎の2段ロケットを利して守澤が差し切り、地元勢の上位独占までありそうだ。
対抗の松浦悠士も差はない。中四国で松本貴治が前を回りそうだが、展開しだいでは松浦が早めに仕掛けて逆転を狙う。あとは郡司浩平のまくり一撃と、位置取り巧みな古性優作の強襲を警戒したい。有力候補には入らなかったが、柏野智典(岡山)が勝ち上がれば、中四国ラインは一気に引き締まることになる。強引さはないものの、ガード役の立場は心得ている。準決勝で松浦と走るようなら、車券は2人の1点でいいだろう。
伏兵の1人目は才迫開(広島・101期)。1月和歌山記念【1】【1】【3】【6】の準決勝は1着守澤、2着小松崎で4着が古性だった。直近成績(4カ月)の1着10回が示すように、勝負強さが戻ってきている。特に5勝をあげている初日は、1着で狙いたい。117期を早期卒業したエリート選手、菊池岳仁(長野)が、いよいよその本領を発揮してきた。FIでは決勝戦の常連になりつつあり、才迫以上に初日は無敵に近い。二十歳の若武者が予選を突破するようなら、さらにその上があるのではないか。
藤根俊貴(岩手・113期)の前走、FI岐阜2日目の1着失格は、並走した選手が雨走路に滑って落車したからで、やや不運な面もあった。ただし、ためらわずに踏んでいれば避けられた。地元地区の今回は、積極策で戦い抜きたい。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。