5月21日から公開されている尾野真千子主演の「茜色に焼かれる」(監督・石井裕也)が、見応え十分の映画と評判。彼女の代表作となるのは間違いないともっぱらだ。
「尾野が演じるのは、ロック・ミュージシャンの夫を交通事故で亡くし、息子を女手一つで育てていく母親・田中良子。社会の歪みに対峙し、もがきながらも懸命に生きようとする姿を描いた内容ですが、体を張って表現する尾野の演技力に圧倒されます」(映画誌編集者)
良子はカフェを経営していたが、コロナ禍で倒産。生活のため、スーパーでのバイト以外に、渋谷の性サービス店の従業員としても働いている。そのため息子がイジメに遭ったりするが、そんな時には学校に乗り込み担任教師を問い詰めるシーンも。また、店で同僚の女性が病気や男関係で苦しんでいる際には、親身になって相談に乗り、施設に入院している義父や夫の隠し子の面倒も見るなど、良子はとにかくへこたれない。哀しみと怒りを心に秘めながらも、我が子へのあふれんばかりの愛を抱え、気丈にたくましく生きる、愛おしいくも力強い母親なのだ。
「尾野のデビューは16歳の時の『萌の朱雀』(97年、監督・河瀨直美)なので、すでに20年以上のキャリアを誇ります。そろそろベテランの域に達していますが、40歳には思えないほど若々しく、そのみずみずしさが今回のような暗くなりそうな話を明るくさせていますね」(前出・映画誌編集者)
見どころの一つは、やはりベッドシーン。
「最初は胸をシーツで隠していますが、幼なじみの男に剥がされ、推定Dカップの揉みがいがありそうなバストが露わになります。『萌の朱雀』から脱いでいるため驚きはしませんが、彼女の場合、何度そうしたシーンを演じても、リアルな泥臭さが漂い、観てる側の下半身をゾクゾクさせます。今年の主演女優賞の有力候補になることは間違いないでしょうね」(前出・映画誌編集者)
NHK連ドラヒロインを経て、今もなお脱ぎっぷり抜群の尾野に拍手を送りたい。
(映画ライター・若月祐二)