バブル崩壊以降となる90~00年代も、下を向きがちな男たちを奮い立たせる起爆剤はあった。断言しよう。やはり、美女たちの美ヒップに尽きたのだ。
巨匠・今村昌平監督がメガホンを執った名作「カンゾー先生」(98年/東映)でスパンキングをおねだりする艶技を披露しているのが、麻生久美子だ。初老の開業医・カンゾー先生が雇う、体を売る癖のある看護師を演じており、芸者の手伝いをするシーンで軍人から下腹部に卵を挿入される場面も衝撃的だが、真の見どころについては、芸能ジャーナリストの平田昇二氏によれば、海中で麻生のモンペが脱げて下半身丸っと出しになる場面だといい「キュッとした」美ヒップが露わになるそうだ。その後、海上に上がるとみずから自分のヒップを「叩いて!」とおねだりするといい、「カンゾー先生でなくとも興奮しますよ」(平田氏)とのことだ。
“脱がせ屋”としても有名な新藤兼人監督の「墨東綺譚」(92年/ATG)では、墨田ユキが神々しいヒップを自慢げに晒している。
私娼を演じる墨田は、父親よりも年の離れた主人公を相手に、上になられたり、馬乗りになったりの体勢で交わる激しいベッドシーンに体当たりしている。
「うつ伏せになった墨田の頭の先から足の爪先まで、全身を舐めるように映す場面があるんです」と話す平田氏によれば、「そのシーンでは雪のような白い美肌とともに、スレンダーなウエストラインの下に広がる形のよい」美ヒップが「印象的」で、「あのシーンがあるからこそ、カラミのシーンがより煽情的になったのだと思います」という。
映画評論家・前田有一氏は美ヒップ好きにオススメの作品として、大森立嗣監督の「ゲルマニウムの夜」(05年/荒戸映画事務所)を挙げる。大森監督は「さよなら渓谷」(13年/ファントム・フィルム)では真木よう子のバストにこだわって撮っているというが、今作を見れば“本来はヒップが好きなんだ”とわかるという。その後に「光」で橋本マナミのヒップばかり映していたことでも、それが、「間違いないと思いました」と話した。「ゲルマニウムの─」では、すでに女優業を引退しているが、早良めぐみのベッドシーンも珠玉の出来栄えだといい、ヒップへのこだわりが強く、前田氏によれば、女性が上になる体勢で、ヒップのラインが「よくわかります」とのことだが、「そうかと思えば次は真横からも撮る」といい、ヒップのアップではなく、「上からも横からも体全体のバランスを映すことで」要となるヒップの形が「本当によくわかる」という。さらに、早良が男とピロートークする場面があるが、この監督は、2人が喋っているのに下半身の生足から舐めるようにヒップのラインを追っていて、まるでヒップが喋っているようなのだそうだ。しかもそのセリフが、中に出されたことを意味する、「中をいっぱいにされることが好きなんです」というもの。ゆえにヒップのアップは「半ば間違いではない。本当に凄いですよね」(前田氏)と語る。ヒップ好きを自認する読者諸兄であれば、一見の価値ありだ。