元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長・森喜朗元総理が、安倍晋三前総理への「五輪オーダー」(功労章)授与の式典に出席。授賞式では安倍さんにちょこんとくっつき、「私の名前は喜朗でありまして、ヨッシーであります」と自己紹介。リオデジャネイロ大会閉会式では、安倍前総理がスーパーマリオに扮したことを模し、自分はマリオを支えるヨッシーだと発言したことがニュースになっていました。
ヨッシーはマリオシリーズのキャラクターで、任天堂ホームページのキャラクター図鑑によると「マリオの頼れる仲間、優しくて、のんびりした性格」。僕は2回ほど森さんと2人でお話ししたことがあるのですが、大悪党という世間のイメージとは程遠く、実際は温厚でとてもチャーミングな人でした。しかも永田町界隈では慕っている人も多く、そんな人望の厚さに触れてみたくて、どうしてもお会いしたいと、同期議員に相談をして一度伺わせてもらいました。
アポを取って訪ねると、森さんは現れるやいなや、「キミは京都大学で講義をしたことがあるみたいだね。すごいね」という挨拶。きっと周りは知らないだろうという僕の経歴を、つらつらと褒めるのです。うん、これはやっぱりヌルッと人の心に入ってくるパターンで間違いない、と。そうやってサービス精神が旺盛すぎるので、ついつい余計なことをペロッと口走っちゃうのでしょう。
有名なのは、自民党京都府連主催の政経文化懇談会での出来事。「大阪は日本のタンツボだ」的な発言ですね。京都人へのリップサービスのつもりが、日本人みんなを敵に回してしまうという悲劇は、ずっと揶揄されるに違いありません。
その後、僕は早稲田大学出身者の会で再会。「キミ、久しぶりだね」と、またしても森さんから声をかけてくださり、ビールをつぎ合いながら「キミの地場、京都にかつて住んでいたことがあってね。なぜなら、京都の銭湯は石川県出身の人が経営していることが多いんだけれど、私は石川(出身)だから、その関係もあって京都に住んでいてね」と教えてくれました。「その関係で」というところには触れなかったのでモヤモヤしましたが「石川県人=銭湯」の根拠については、のちに調べてみたところ「江戸時代から明治時代にかけて、石川県の出稼ぎ人が、関西や関東に出て銭湯を経営する人が多かった。特に京阪の銭湯の初代経営者には、石川県出身の人が9割近くいた」という情報が出てきました。ということはつまり、京都だけでなく、大阪府の銭湯にも石川県出身の人が多いということです。
まったくどうでもいい雑談になってしまいましたね。このところ日本の政治がかつてないほど地味なので、ついヨッシーの喜朗に反応してしまいました。IOCのバッハ会長も今のところは五輪を開催する方向ですし、かつてメディアに見せたような大悪党の顔を森さんがまた見せてくれることに期待しています。
ちなみに、一般的に知られる「ヨッシー」キャラは緑色。でも実は他にも赤、青、黄、水色、オレンジ、白といろんな色のヨッシーがいるらしく、色によって能力や性格が多少異なっているとか。「裏の喜朗」はどんな色なんだろ。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。