元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
東京の高齢者から、こんなお願いが届きました。
〈八王子から始まったコロナワクチン。次の順番で回ってくる地区に住んでいますが、八王子ですらまだ2000人ほどしか打っていないと聞いて、自分は本当に打てるのか、と。不安だから政府に聞いてほしい〉
さらに、知り合いの70歳の医師は、次のように言って、苦笑しています。
「僕は持病持ちなんだけど、ワクチン接種のお知らせなんて来ないよ。うちのクリニックには医師と看護師、合わせて20人ほど働いているけど、まだ誰ひとりとして打ってない」
2月中旬から動き出した新型コロナのワクチン接種。医療従事者約480万人、この4月からは約3600万人の高齢者の優先接種でスタートし、6月末までに全ての高齢者に2回分の接種を終了する予定だと、政府は打ち出しています。このスケジュールはどうやら遅れているようですが、ここにきて再び、コロナ感染者数が急速に膨れ上がっているため、「ワクチン、回ってこないけど、どうなってるの!?」と世間が騒ぎ始めました。
以前は「副反応が怖いし、接種した医療従事者たちの統計が出て、安全だとわかったら打ちたい」という声もあり、どちらかというと、バンバン打つ派より、おっかなびっくり派が多かった気がしますが。
そこで、河野大臣がEU議員とワクチン交渉をした場に同席した議員を直撃してみました。
そもそもなぜ日本へのワクチン供給が少ないかというと、2つの理由があるそうです。
ひとつは「EU内が収拾つかない状態で、他国へ出すことはできません。そこはご理解ください」。
もうひとつは「日本は1日平均300人の感染者と聞きましたが(交渉時点)、それって死亡者数じゃないの?」と言われ、暗に「後回しでいいでしょう」という雰囲気だったこと。
菅総理も3月にはワクチンを打ち、接種の安全性をアピールしていましたが、あの頃は「菅総理、打ったんだ。へー」的なムードで、内閣支持率がアップするようなニュース性はありませんでした。冷静に考えると、欧州に比べたら実際に罹患率も死亡率も低いので、パニックになる必要はありません。とはいえ、内閣支持率は依然として続落中で、このまま解散などしたら、菅政権は負けてしまうのではないか、とも囁かれています。
東京五輪まであと3カ月。こうなったらいっそのこと、「五輪は中止します!」とかけまして「でも、五輪は必ずやります!」と解く。そのココロは──。
「12年後の五輪を東京で開催するとの確約を、IOCからとってきました。有力候補地とも交渉し、押しのけましたので、まずは日本のコロナ完全終息に注力することをここに宣言します」
内閣がこう発表するストーリーはどうでしょう。
ちなみに、冒頭で登場した医師いわく、
「あらゆるメーカーのワクチンが一巡して、どれが安全かある程度見えて、さらにワクチンを選べるようになってからやろうかな」
とボヤいていました。
ワクチン一巡にしても、12年後のオリンピックにしても、先は見えないので、まずは現実的な対策を。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。