テリー 最近、ダンカンの本(「ダンカンの企画書」)に帯を書かせてもらってね。「ダンカンは、二度と現れない天才放送作家だ」と。
ダンカン ありがとうございます。まさかテリーさんからそんな言葉をいただけるとは。
テリー でもさ、当たってるよね、天才放送作家。
ダンカン こそばゆいですね。とうの昔に「元気が出るテレビ」は終わってるけど、作家であったり、演出家であったりというのはずっと続いてるじゃないですか。今も毎日、ずっとくだらないことを考えてるわけで、何も変わってないんだけどなって。
テリー そうだよね。
ダンカン で、今日はテリーさんに30年ぶりに企画書を書いてきたんですよ。ちょっと見てください。今の世の中だとお叱りを受ける企画かもしれないけど(と企画書を見せる)。
テリー 河村(たかし)市長? 名古屋の。
ダンカン この前、金メダル噛みましたね。その河村市長に目隠しをしていただいて、金メダル、銀メダル、銅メダル、噛んで当てられるかっていう。
テリー これ、舐めてもいいよね。
ダンカン 舐めてもいい。河村さんは確かに今の世の中に合わないことをしたかもしれないけど、生理的にはわかるんですよ。河村さんって今、72歳でしょう。あれはすべて高田純次さんが悪いんですよ。高田さんは昔「元気」で淡谷のり子さんのダイヤモンドとかね、宝石を必ず口に入れちゃうんだから。
テリー あれはその前があって、最初に清川虹子さんの指輪を口に入れちゃったんですよ。だから、高田純次さんは河村市長のことを何ひとつ文句言えない。俺やダンカンも、オリンピックの役員になったとしても1日でクビですよ。だって小林孝至さん(ソウル五輪金メダリスト)の金メダルを犬にかけて逃げさせちゃったじゃない。
ダンカン オリンピックのほうは絶対選んでくれないですよね。俺も次の人に聖火を渡す前に、自分の頭に火を付けますからね。間違いなくやりますよ。
テリー なんかさ、今さらだけど、想像することすらマズイみたいになってて、やりにくくない? 例えばこのバカな企画書をコピーして、企画会議で20人に配ったとするでしょう。もし、その中の一人が「ダンカンがこんなこと書いてる。とんでもねえヤツだ」ってネットに上げたら、大変なことになるかもしれないんだよ。それって変だよね。
ダンカン ねぇ。せめて頭の中ぐらいは自由でいさせてほしい。そしたら2枚目の企画なんか、もう話にならないですよ。
テリー (再びダンカンの企画書に視線を落として)「ヅラボッチャ」?
ダンカン ボッチャの選手がハゲた人にヅラを投げて、うまく乗るかどうか。
テリー これはできるよ。
ダンカン これ、できるんですか(笑)。どこにラインがあるんですか。
テリー ボッチャで金メダルを獲った杉村英孝選手っているじゃないですか。あの人、天才だよ。杉村選手だったらやってくれるかもしれないね。
ダンカン お願いしてみましょうか。
テリー この前、パラリンピックの車椅子ラグビーの選手たちに、今の不安を聞いたら、オリンピックが終わるとスポンサーが離れちゃうから、今までみたいに給料がもらえるかとか、不安がいっぱいあるんだよね。だから、ヅラボッチャなんかテレビでやれば、ああいう人たちもまた違う収入を得られるかもしれない。
ダンカン そうですね。お金に困るというのは、すごく想像力を止めちゃいますからね。企画は悪くないと思いますね。