女性の秘唇を舐め回すことは、男も女も相互に興奮できる愛撫術。それゆえ、数々の作品で描かれてきた。イヤらしい音に始まり、紅潮する顔、そしてクライマックスまで。忘れがたき秘唇責めシーンをプレイバックする。
空が白み始めた頃、ホテルのベッドで長澤まさみが目を覚ます。隣で阿部サダヲが眠り続けている。昨夜の情交が物足りなかったのか、長澤はキスの嵐で阿部を起こし、体を求め始める。寝ぼけまなこで、
「おい、しょうがねえな」
と阿部が応じると、すかさず布団の中へと潜り込む。互いのツボは心得た間柄。的確なポイントに舌を這わせているのだろう。
「ハウッ! アァァン」
長澤はアエギ声のボリュームを一気に上げる。もはや限界は近い。小刻みに肩を震わせて─。
これは映画「MOTHER」(20年、スターサンズ/KADOKAWA)のワンシーン。長澤は行きずりの男たちと肉体関係を持つ自堕落なシングルマザーを演じた。同作を何度も鑑賞した芸能ライターによると、
「長澤は作中、3度のベッドシーンを演じましたが、何度も美脚を駆使して下から男をホールドするんです。役柄でもある性への貪欲さを表現していたのだと思います。阿部とは布団の中での秘唇責めでしたが、長澤は自分の股の間に頭を挟んで、押さえつけているとわかる出来栄えでした」
そんな長澤に勝るとも劣らない秘唇責めを見せたのが蒼井優。映画「宮本から君へ」(19年、スターサンズ/KADOKAWA)で、なんと69の形での愛撫を披露している。あまりの迫真演技は芸能評論家の沖直人氏をうならせるほどで、沖氏によれば、池松壮亮に対して全身リップから口技。側位にすり替わるや、69プレイへ移行。「ついには、蒼井が上になって、池松の顔に秘部を押しつける。その直前に掛け布団を投げ捨てているので、遮蔽物は何もない状態」(沖氏)だそうだ。蒼井のヒップが快楽で引きつる様子もわかったといい、「カメラワークの妙には感心しっぱなしでした」(沖氏)
ベテランたちも負けてはいない。69プレイならば、映画「身も心も」(97年、東京テアトル)での、かたせ梨乃も圧巻だった。元恋人役の柄本明と旅館でナメ合うシーンでは、
「全てはシーツの下で行われているのですが、音とシーツの動きで、柄本のモノを咥え込んだ瞬間までわかる」という沖氏によれば、2人がナメ合う直前、かたせは一度果てているが、それでも求めてしまうという既婚者の性を表現しているという。
「何より、かたせは絶頂を足だけで演じ切ったのです。柄本の口撃で左足首が内側に曲がり、ぴくぴくと痙攣。さらに5本の指がギュッと折れ曲がってイクさまは、さすが肉体派女優の一言に尽きます」(沖氏)
公開直後、「ガチンコ?」と評されたのも数々のベッドシーンを演じた、かたせならではだろう。
だが、デビュー作で男を奮い立たせたもう1人の女優がいた。黒木瞳だ。映画「化身」(86年、東映)で4度のベッドシーンを熱演。特に、藤竜也が屋形船で2度目の執拗な秘唇責めをする場面は語り草となっている。映画業界関係者もこう振り返る。
「黒木は生娘という設定で1度目は貫通できずに迎えた2度目の逢瀬。痛がらないように、黒木の股の間に顔を埋めて離れない。他人に見られるかもしれないという恥辱も加わり、黒木が歓喜の声を漏らしていくのですが、藤が丁寧に女唇を開いていくのが手に取るようにわかる名場面です」
とはいえ、秘唇責め絶頂における日本映画最高峰は、小柳ルミ子の「白蛇抄」(83年、東映)ではないか。
半身不随で不能の夫、若山富三郎は「お前が満足なら、わしはうれしい」と、小柳に執拗な舌技を仕掛ける。秘唇責めシーンは約2分にも及び、「ハァハァハァ」と息が荒くなると、首をのけぞり、あまりの快楽に小柳は髪をかきむしる。最後は、体をハジかせるように痙攣して果ててしまう。まさに、下腹部からくる快楽が全身を貫く女体の神秘を感じさせた。来年、70歳になる小柳だが、今度は超熟な絶頂をぜひ拝見したいものだ。