昨年のリーディングジョッキー争いは、福永祐一が131勝でトップに輝くも、100勝を達成した騎手が7人と、まさに群雄割拠の様相を呈している。そこで玄人ファン2000人に加え、競馬サークル関係者14人にアンケートを実施。本当にうまい騎手ランキングを作成した。すると、かろうじて天才・武豊がベスト3に滑り込むも、外国人ジョッキーが上位を独占する結果に!
今年も東西「金杯」でスタートを切った日本競馬界。寒空の下、例年以上の大歓声に包まれる中、東はアイルランド出身のF・ベリー(33)、西はランキング2位のC・ルメール(34)が、華麗な手綱さばきで京都金杯連覇を達成した。スポーツ紙デスクが話す。
「東は5番人気のオーシャンブルー、西が6番人気のエキストラエンドと、ハンデ戦の混戦模様の中、どちらもイン強襲の鮮やかな勝利。乗り手のうまさが光ったレースでした」
外国人ジョッキーがランキングのベスト5に4人も占める理由は「大レースでの勝負強さ」にほかならないが、その“うまさ”については後述することにして、まずは名手の共通点について毎日新聞本紙担当の丹下日出夫氏が解説する。
「トップジョッキーの条件の1つは、馬とのコンタクトが巧みに取れるかどうかでしょう。彼らの返し馬を見ていると、騎乗フォームこそ違え、なだめ方は一緒ですからね。馬が頭を上げて、馬に持って行かれるシーンなんて、まずない」
もしエキサイトしたまま発走すれば、能力差が歴然の新馬戦や未勝利戦でもないかぎり、そこでジ・エンドだ。その象徴的な例が、平成の天馬ディープインパクトのダービーだろう。前出のデスクが当時を振り返る。
「3歳の春まではかなり激しい気性で、パドックでは興奮して、まるでロディオのようでした。武豊(44)クラスのジョッキーでなければ、振り落とされていたかもしれない。パドックで巧みになだめ、返し馬でしっかりと落ち着かせ、クラシック3冠馬に導いた手腕は、日本のホースマンの多くが認めるところです」
“アンチ豊派”からは「何年前の話だよ」と、ツッコミが聞こえてきそうだが、社台軍団と和解した今、さらに円熟味を増しているという。「競馬BEAT」(関西テレビ系)でパドック解説を担当する専門紙「競馬エイト」の鈴木由希子氏が話す。
「昨年の97勝という勝ち星だけでなく、自然体のレースぶりからも、第2のピークを迎えているように思いますね。昨年の小倉記念なんて、ラチを頼りがちで気難しいメイショウナルトの気持ちを優先させ、4角先頭で押し切り勝ち。セオリー的には、もう少し待って追い出すところだけに武豊騎手の好判断でした」