連続キングを狙う福永祐一もスケールアップ。菊花賞で初の牡馬クラシック制覇を成し遂げ、一皮剥けたようだ。
「印象的だったのが、秋の天皇賞です。これまでは教科書どおりのレース運びで、超一流ジョッキーのようにレースを支配していなかった。でも、あの日は勝負どころで“タメ”というか、独特の空間を生んでいた。『アッ、福永だ。うまい!』から『すごい!』って言われるようになると思う。今年の主役になるでしょう」(丹下氏)
ダービーではエピファネイアで一瞬、勝ったと思わせたものの、武豊騎乗のキズナにゴール前できっちりと差された。レースをコントロールしていたのは武豊で、誰もが「スゲェ、武マジック炸裂!」と思わせたものだが、福永が念願のダービージョッキーの仲間入りを果たすのも近そうだ。
今年で40歳を迎える岩田康誠も、虎視眈々と返り咲きを狙う。個人馬主が話す。
「藤田伸二(41)が著書で岩田の騎乗フォームをボロクソに書いていましたが、一見、バラバラに見えながら馬のフォームは乱れていないし、一体感が伝わってくる。特に驚かされたのが札幌2歳Sのレッドリヴェールでしょう。極悪馬場の中、馬との呼吸が合っているからこそ、泥まみれになりながらも自然なコース取りができるのだと思います」
西では20代の川田や浜中の100勝ジョッキーが注目を集めているが、東の田辺裕信(29)も黙っていない。水上氏が話す。
「関東ならば、田辺騎手に期待します。13年は9月中旬まで重賞勝ちがなかったが、以降3勝。大きいところでもっとアピールできるようになれば、依頼はさらに増えるでしょう。社台系やマイネル軍団にも乗るものの、他の超一流どころに比べると多くない点がネックですが、大クラブからの支持を得られれば飛躍できるはず。そろそろ大きな勲章が欲しいですね」
確かに、技量というよりは、西高東低の環境がハードルの一つだ。
「何せ昨年の年間東西別勝利数が関東1473勝(重賞41勝)に対して関西1982勝(重賞92勝)ですからね。一昨年より差が縮まったとはいえ、勢力図は変わりません」(デスク)
ただ今年は、田辺には楽しみな駒がそろっている。鈴木良一記者が話す。
「最近、特にダート戦では1段階重い印を打っています。ダートのジェベルムーサや、3歳牝馬のマーブルカテドラルなど楽しみな手駒も多く、GI戦線をにぎわす存在になるのでは」
逆襲の機会を狙うベテラン勢も侮れない。東の横山典弘(45)と西の藤田伸二の人気ぶりは健在だ。競馬ライターが話す。
「昨年のラジオNIKKEI賞は、まさに典さんの代名詞の『決め打ち』が炸裂。有力馬が外を回る中、最後方でじっくりとタメて最内から突き抜けた。藤田も1月6日の京都最終レースで、3連単100万円馬券を演出した。こちらは最後方から大外を14番人気の馬で飛んできてのハナ差の2着。“政治力”にモノを言わせての逃げ切りだけではないことをアピールしていました(苦笑)」
今年は日本人騎手が外国勢に泡を吹かすシーンも見たいものだ。