栄光の記録集はまだまだ続く。あのレコードの売り上げから怪物番組の視聴率、そして愛らしい写真の数々にどんな価値がついたのか──。
レコードからCDに切り替わる過渡期となった80年代だが、ジャケット写真とともに購買力が刺激されたのは当然のファン心理であった。栄えあるシングル1位に輝いたのは、薬師丸ひろ子の映画主題歌「セーラー服と機関銃」(81年)で、今からちょうど40年前のこと。21年の紅白に出場が決まっているが、あの清らかな歌声でぜひ同曲を披露してもらいたい。
シングル連続24作1位の大記録を持つ松田聖子は、上位10曲に4作を送り込んでいる。聖子として最大ヒットの「ガラスの林檎」(83年)は、B面の「SWEET MEMORIES」が缶ビールのCMで注目されたことにより、チャートをV字回復させた。
80年代の終わりに登場したWinkは、平成に入り89年のレコード大賞も獲得している。
レコードの次はコンサートに移ろう。今よりもはるかに日本武道館の価値が高かった時代に、いち早く成功させたのは松本伊代(56)だ。デビューから約1年後の82年11月15日、当時としては最年少17歳でのサプライズ快挙だった。
これを上回ったのが、銀蠅一家の妹分としてデビューした岩井小百合(53)だった。83年9月24日、デビューからわずか8カ月後、しかも15歳1カ月という若さで聖地を席捲したのだ。
80年代を代表する歌番組といえば、最高視聴率41.9%を叩き出した「ザ・ベストテン」(TBS系)になる。演歌もアイドルもロック系も混在してチャートを競ったが、全600回のオンエアでどんな記録が生まれたのか──。
まず、番組のクライマックスと呼ぶべき「今週の第1位!」の記録は、中森明菜が17曲で打ち立てた69週である。毎週1位を重ねても1年以上かかる不滅の金字塔と言えた。ちなみに、ライバルの松田聖子は、15曲の1位獲得で44週をカウントしている。
ただし「ベストテン入り」の部門では、明菜を1週上回る224週で牙城を守る意地を見せつけた。
最後は、長い歴史を持つ「マルベル堂のプロマイド」の年度別1位はどうか。80年、81年のトップが聖子で、83年が明菜と、ここでも永遠のライバル対決が見て取れる。
中期以降は84年の菊池桃子(53)、87年の中山美穂など新勢力が台頭。そして昭和最後の年である88年が、ナンノこと南野陽子(54)の1位で時代を締めくくった。
この当時のナンノは、写真集もバカ売れし、ビジュアル面での活躍がめざましかったのだ。
■シングル売り上げベストテン
1位:薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃(81年)」86.5万
2位:松田聖子「ガラスの林檎/SWEET MEMORIES(83年)」85.7万
3位:薬師丸ひろ子「探偵物語/すこしだけやさしく(83年)」84.1万
4位:松田聖子「風は秋色/Eighteen(80年)」79.6万
5位:中森明菜「セカンド・ラブ(82年)」76.6万
6位:松田聖子「チェリーブラッサム(81年)」76.4万
7位:松田聖子「Rock’n Rouge(84年)」67.4万
8位:Wink「愛が止まらない ~Turn it into love~(88年)」64.5万
9位:中森明菜「ミ・アモーレ(85年)」63.1万
10位:中森明菜「飾りじゃないのよ涙は(84年)」62.5万