1984年に発売した「時間の国のアリス~Alice in the world of time ~」を新たにアレンジし、6月2日に配信リリースした松田聖子。
YouTubeでは松田自身が監督・主演を務めた同曲のミュージックビデオを公開中。そこではカラフルな衣装を身にまとった8人の松田が、それぞれボーカル、コーラス、ギター、ベース、キーボード、ドラムを担当し、バンドでのパフォーマンスを披露している。
37年ぶりのセルフカバーとなった同曲は、コンサートでの定番曲でもある。松田は「私にとって青春時代であるキラキラした80年代の楽曲なので、その年代を思い出すことができる、ドキドキワクワクするような仕上がりになったらいいなと思いました」とコメントしている。
ところで松田といえば、アイドル全盛期のトップアイドル。当時の人気ぶりは凄まじく、TBS 系音楽番組「ザ・ベストテン」の生中継でもいくつかの伝説を残している。
「1980年8月、松田はセカンドシングルの『青い珊瑚礁』が8位にランクインし、『ザ・ベストテン』に初登場。札幌で仕事を終えた松田は飛行機で東京へ戻る予定だったため、番組プロデューサーはランキング発表の直後にカメラを羽田空港に切り替え、到着したばかりの全日空機から松田がタラップを降りて滑走路上で歌うことを考案。当日、風の影響で羽田到着が5分早まることになったが、なんとプロデューサーが全日空の広報にスピードを落としてもらうように懇願。広報から連絡を受けた機長がなんとか定刻通りに到着させ、無事、狙い通りに放送されたそうです」とはエンタメ誌ライター。
「さらに翌年3月には、東海道新幹線の静岡駅のプラットホーム上から生中継出演。移動中の松田が駅に到着した新幹線から降りると、すぐにイヤーモニターを付けて『チェリーブラッサム』を歌唱。終盤、電車の発車時間が迫り、ワイヤレスマイクを持ったまま車内に戻りそのまま歌い続けました。84年4月に『Rock’n Rouge』でランクイン。甲子園駅を発車した走行中の阪神電車から中継しましたが、冒頭で松田が『今から梅田に向かいます』 と言ったため、大阪梅田駅にファンは殺到。そのため松田は手前の尼崎駅で降りたという話もあります」(前出・エンタメ誌ライター)
現在の歌番組ではありえない話だが、いい時代だった。
(鈴木十朗)