新春の今回は、中山の京成杯と、中京の日経新春杯。京成杯は暮れに行われたGIホープフルSと同じ舞台&距離で、顔ぶれはやや見劣るものの、これからどう変わり、成長していくのか楽しみな存在が少なくない、素質馬ぞろいの競馬。よって、大きく荒れることは少ない。
馬単が導入されてからこれまでの19年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は0回)。この間、1番人気馬は7勝(2着5回)、2番人気馬は4勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回のみだが、19回のうち11回で1、2番人気馬が勝利をあげているように、比較的順当に収まる重賞と言っていいだろう。
今年は素質馬ぞろいと前述したが、なるほど、キャリアは浅いがヴェールランス(母は桜花賞馬のジュエラー)、タイセイディバイン(菊花賞馬キセキが近親)、テンダンス(東スポ杯2歳S3着)、ホウオウプレミア(叔父が皐月賞、ダービー勝ちのドゥラメンテ)、ロジハービン(叔父はGI3勝のアドマイヤムーン)など、将来性十分な良血馬がズラリと居並ぶ目の離せない一戦。馬券的にもなかなかおもしろそうである。
ということで、今年はデータとは裏腹に人気、有力どころで順当に決まるかどうか、微妙なところだ。
穴党としては当然、前述した注目馬ではない。混戦模様とみて、最も期待を寄せてみたいのは、サンストックトンだ。
暮れの有馬記念でGI3勝目をあげたエフフォーリアを送り出した鹿戸厩舎所属で、鞍上もその最強馬の手綱を取り、大ブレイク中の横山武騎手とあっては、注目されないわけがない。
ただこの馬は、未勝利戦を勝ち上がったばかりなのに加えて、牡馬としては小柄な450キロ台と、ハデさはまったくない。そのため、そこまで人気に支持されることはないだろう。
前走の未勝利戦は、直線で追い出すと鋭く反応。外からあっという間に先頭に立つと、最速の上がり脚で2着馬に2馬身もの差をつけての完勝劇を演じてみせた。
「発熱明けで6分程度仕上がり状態」(鹿戸師)だったことを思うと、秘めた地力はかなりのものと言っていいのではないだろうか。
そうした素質に加えて、アカ抜けて均斉の取れた好馬体。今後の活躍を見込めそうな馬であることは間違いあるまい。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。ここを目標にしっかりと乗り込まれており、大幅な良化ぶりを見せている。血統的にも近親にアンバーシャダイ(天皇賞、有馬記念)がいる良血。混戦に断を下すのは、この馬とみる。
一方の日経新春杯は、ハンデ戦。こちらも混戦ムードで難解だが、最も狙ってみたいのはヤシャマルだ。
前走の中日新聞杯でも期待を寄せていたが、俗に言う“行った行った”のスローペース。追い込み一辺倒のこの馬には展開が不向きだった。そのため8着に敗れたが参考外とみてよく、ここは改めて注目したい。
使われつつ調子を上げていくタイプで、状態も明らかに前走以上。中間の稽古内容がすこぶるよく、1週前の追い切りも軽快かつ、リズミカルだった。ならばチャンスは十分あっていいのではないか。
中京も2度目とあっては慣れも見込めるはずで、前走から距離が1ハロン延びるのも歓迎。曾祖母はエリザベス女王杯勝ちのタレンティドガールで、まだまだノビシロ十分の馬。今度は期待に応えてくれるとみた。
他ではプレシャスブルーと、モズナガレボシがおもしろい。
前者はヤシャマル同様、中日新聞杯(12着)で流れが向かなかったまで。中京は〈1 1 0 2〉と得意な舞台だけに軽視は禁物だ。
後者は休み明け3戦目。【11】【7】着と惨敗続きだが、この中間は大きく良化しており、要注意だ。