来週の関西版グランプリ・宝塚記念をもって上半期の競馬は幕を降ろすが、今週、東京で行われるユニコーンSは、3歳馬による中央ダート競馬のいわば総決算。今年で26回目となる比較的新しい重賞である。
それでも年々、いずれはダート界を背負う素質馬が顔をそろえ、重厚さを加えてきており、レースのおもしろさも増してきている。注目すべき重賞であることは間違いなく、今年もフルゲート(16頭)必至だ。
ただ、素質馬ぞろいとはいえ、キャリアの浅い若駒。今後どう伸していくか値踏みするのは難しく、その判断の当否がそのまま、正しい予想かどうかに繋がることになる。
ということで顔ぶれを見てみよう。これぞ抜けているとみられる馬が見当たらない反面、いずれの馬も厩舎期待の好素材。馬券的には結構、難解な一戦と言ってよさそうだ。
データ的には、どうだろう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は3回のみ(馬連は0回)。この間、1番人気馬は9勝(2着3回)、2番人気馬は3勝(2着6回)。1、2番人気のワンツー決着は5回あり、比較的人気サイドで収まる重賞と言える。
ただ、そうは言っても、今回はそう簡単ではない。有力どころが大きく抜けているわけではなく、珍しく混戦とみていいのではないか。
悩むところだが、穴党として最も期待を寄せたいのは、スマッシャーだ。
デビューは昨年7月と早かったが、ひ弱さが残り結果は散々。そのため放牧でリフレッシュして立て直したのが奏功した。3カ月の休養後は【2】【2】【1】【1】【3】着と、見間違えるばかりの堅実味を見せている。
前走の端午Sは、ひと息入ったあとで重め残りの状態だったが、初の一線級相手に強烈な末脚を披露。見せ場たっぷりに3着に頑張ったあたり、ただ者でないことは明らかだ。
今回は初めてのマイル戦になるが、折り合いに不安を残す馬ではない。祖母は福島牝馬Sを勝ち、函館記念で2着したロフティーエイム。そして母の父がキングカメハメハであれば、距離がマイルに延びるのは、むしろ歓迎と言っていい。
休み明けを使われたことで、この中間、大幅な良化ぶりを見せており、稽古の動きも文句なし。大きく狙ってみたい。
一方のマーメイドSは、牝馬同士のハンデ戦。ユニコーンSとは違って荒れることで定評がある。過去18年間で馬単万馬券が10回(馬連は5回)と、データからも波乱含みの重賞であることがわかる。
こちらも混戦で目移りしてしまうが、イチオシしたいのは、クラヴェルだ。
決め手にやや甘いところはあるが、それでも相手なりに走る勝負強さが光る。前走のシドニーT(3勝クラス)は、ひと息入ったあとで重め残り。それでも見せ場たっぷりに勝ち馬とコンマ2秒差の4着だった。
まだ3勝クラスの身で重賞は初挑戦となるだけに、オープン馬に伍してのここでは、ハンデが軽くなるのは明らか。恐らく52キロ、背負っても53キロまでだろう。
であれば、おもしろい。
母ディアデラマドレはマーメイドSの勝ち馬で、祖母ディアデラノビアも2000メートルのフローラSの勝ち馬。そして父が菊花賞、ジャパンCを制したエピファネイアとあっては、1800メートルまでしか勝ち鞍がなくても、なんの問題もない。
この中間は大幅な良化ぶりを見せており、しかも1戦1勝と相性のいい阪神での競馬。走れる条件がそろっており、稍重までなら大きく狙ってみたい。