昨年、シーズン終盤までMLBのホームランキング争いに加わっていた大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)。投げては9勝をあげ、走っては26盗塁。まさに「走・攻・守」揃った活躍だった。
そんな大谷と、通算ホームラン868本の世界記録を持つ王貞治氏(巨人)を比較したのは、主に広島カープで活躍した元プロ野球選手・高橋慶彦氏。みずからのYouTubeチャンネル〈よしひこチャンネル〉の1月5日付け投稿回でのことだ。ゲストは、中日ドラゴンズ、巨人、西武ライオンズのセ・パ3球団を経験した元プロ野球選手の中尾孝義氏。高橋氏が言う。
「大谷ってセーフティバントするやん。皆、大谷のこと叩かんやん?でも、王さんがセーフティバントとかしたら『おおい!』ってなるやん?」
大谷の「走・攻・守」バランスの整った状態と、王氏にはホームランに多大な期待が集まっていたことを指しての発言である。
「王さん、セーフティバント…見たことないか…」との中尾氏に、「無いって!」となおも強調した高橋氏。
しかしながら…1964年、実は王氏のセーフティバントは存在していた。
きっかけは、広島の白石勝巳監督(故人)が発案した、極端に右半分に野手を集める「王シフト」だった。すると、本来なら1、2塁間を抜けるあたりがセカンドゴロになるなど、流し打ちに転ずることなく、自身の打撃を貫いていたのだが、7月15日の広島戦で、王氏は3塁線にセーフティバントを試みた。結果、王シフトの内野手は誰も追いつかず、2塁打を記録したのだった。
広島の戦法に苦戦したかと思いきや、この年、王氏はホームラン王と打点王を獲り、打率も中日の江藤慎一氏(故人)に準ずるリーグ2位を記録している。
いやはや、王氏の打撃力はいろいろな意味で“規格外”だということが改めて思い知らされる。
(ユーチューブライター・所ひで)