元プロ野球選手の江夏豊氏。最多勝利2度、最優秀防御率1度など数多くのタイトルを獲得しているが、中でも目を引くのは最多奪三振ではないだろうか…。当時連盟表彰はなかったものの、ルーキーイヤーの1967年から6年連続でマークしており、鈴木啓示氏と並ぶ最長タイ記録。68年には、シーズン401奪三振という日本記録も樹立している。この年、その過程として、故・稲尾和久氏が61年に記録したシーズン「353奪三振」を塗り替えているのだが、その偉業達成の相手が、世界のホームラン王、王貞治氏からだと言うから驚きだ。
江夏氏が、主に広島で活躍した元プロ野球選手、高橋慶彦氏のYouTubeチャンネル〈カープよしひこチャンネル〉に出演。同チャンネルの6月2日付けで公開された〈【王貞治】江夏豊vs王貞治!奪三振記録をかけた戦い!王さんから記録となる三振を取りたかった江夏さん【高橋慶彦】【カープ】〉を観ると、「353三振」を王氏相手に奪取した江夏氏は「新記録達成」とばかりに意気揚々とベンチに戻ったが、まだタイ記録であることを捕手の辻恭彦氏から指摘を受けた。
「計算もできないバカ」と、自身をヤユしてスタジオの笑いを誘ったが、江夏氏の傑物たるゆえんは、その後の打者をあえて凡打させ、改めて王氏との対戦で連続三振を決め、「354」の新記録を塗り替えた点だ。江夏氏は2500三振の節目も79年5月11日に王氏から奪っており、「今でこそ868本(本塁打)打って『世界の王』ですけど、当時はまだ『日本の王』やったんですよね」と語る江夏氏。
…と言うことは、王氏を記録の節目に意識していなければ、もっと三振の山を築けていたということ。いやはや江夏氏の無双ぶりに恐れ入る回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)