情報の扱いには細心の注意を払うべきはずの情報番組で、故意に誤った知識を拡散して大きな波紋を広げたのが「発掘!あるある大事典II」(関西テレビ)だ。
07年1月の放送回で、納豆を食べるとダイエットに成功するといった検証を放送したが、その後にデータの捏造が発覚して大問題となり、番組は打ち切られた。放送作家が明かす。
「もともと高視聴率を誇っていた人気番組で、騒動は新聞や週刊誌が連日にわたって関連記事を掲載し、社会現象にもなりました。一部では、騒動余波で番組を手掛けていた制作会社が倒産したという報道もありましたが、実際には社名を変えただけで、今も存在している。しかも系列局の情報番組やドキュメンタリーを制作しているのです」
本来はこうした騒動を報じる立場の報道番組が、あろうことか自らヤラセに手を染めたケースも。史上最悪のヤラセ事件が起きたのは、60年代から80年代半ばまで放送された「アフタヌーンショー」(テレ朝系)である。
85年8月、当時の社会問題になっていた「非行」について取り上げた放送回で、女子中学生たちがリンチされる暴力シーンが放送された。加害者が逮捕されることにもなったが、実際には番組ディレクターが本物の元暴走族メンバーらを利用して焚きつけたヤラセだったことが明るみに。さらに、暴行を受けた被害者の1人の母親が自殺してしまう悲劇も重なり、前代未聞の事件としてテレビ史に刻まれることとなった。
しかし、そんな凄惨な事件も時の流れで、すっかり風化してしまったのか──。同局では19年3月に「スーパーJチャンネル」でスーパーの買い物客として、男性ディレクターの知人を仕込む不適切な演出が発覚。つい最近も「大下容子ワイド!スクランブル」で、番組側が事前に作成していた質問を、視聴者から寄せられた質問と偽る演出が発覚するなど、不祥事が続いている。
番組制作会社スタッフが声を潜めて明かす。
「近年のニュース番組や報道、情報番組でも、実際はヤラセと言ってもいい過剰な演出は多く、明るみに出ているのは氷山の一角です。例えば、最近多いコロナ禍関連の街録なんかでも、番組が求めているようなコメントをなかなか拾えない。すると、ディレクターがインタビューの際に『すいません。今から僕が言う言葉をそのまま言ってもらっていいですか』なんてお願いすることもあります。地方局だともっと緩くて、以前に担当したニュース番組に至っては、選挙前の世論調査で某政党の投票予想の結果が悪いことを受けて、番組の司会者から編集で増やすように指示されたこともありました。拒否しましたが、結局、司会者の顔色をうかがい、別の番組スタッフがしぶしぶながら指示に従っていたようです」
いっそ各局そろって「ヤラセ番組」のドキュメンタリーを制作してみてはいかがか。