ようやく、田中将大のヤンキース入りが決定しました。野球ニュースもまさに田中一色となりました。
それもそのはず。契約内容が7年で1億5500万ドル。日本円で約161億円と、イチローの9000万ドルを超えての日本人最高年俸額であり、メジャーの投手史上でも5番目の大型契約。メディアが大々的に報道するのも納得の内容です。
これは、同じ日本人として誇らしいことではあります。最近はスポーツといえば、野球よりもサッカー。つい先日も本田圭佑がACミランに移籍するなどサッカー面でのニュースが非常に多く扱われていました。その中での田中のヤンキース入団は、野球界にとって実りのあるニュースでもあります。
しかしその反面、気にかかるのはメジャーと日本野球の年俸の差です。楽天での田中の2013年の推定年俸は報道によると1年で4億円。7年で161億円とは、あまりにも差が開きすぎています。今回の契約は、ベースボールと野球の違いを見せられた一件でもあったと思います。
広島の前田健太などを筆頭に、現在プロ野球で活躍している日本人投手たちの中には、今回の田中の移籍を見て、メジャー行きを今まで以上に強く希望する人もいるかもしれません。もし、このままいい投手たちが軒並みメジャーに流れれば、プロ野球は人材不足に陥ってしまう危険性だってあります。プロ野球に関わる人間として、そんな不安を覚えたのも正直なところです。
そしてもう一つ。今回の田中の契約で心配だと感じるのは、メジャーへの対応です。
プロ野球とメジャーではボールやストライクゾーンの広さなど、異なる部分があります。中でもマウンドの違いは大きい。
そもそもアメリカで使われる土は日本のものよりも硬く、足で掘りにくいものになっています。当然、土が硬ければ踏み込む力も変わってくる。田中の場合は左足を踏み込んだ時に、上体が突っ張るような形になってしまいます。
日本であれば土が軟らかく、左足をしっかりと踏み込めます。けれど、アメリカの硬い土では、それができない。加えて、メジャーのマウンドはちょうど地面からポコッと盛り上がった形状をしています。つまり日本のマウンドよりも傾斜がきついわけです。
角度のある傾斜からの投球は、今までのプロ野球で投げていたものとは別物である可能性もあります。この硬い土でできたマウンドを克服するには、上半身の体重移動をうまくコントロールする力が求められるのです。
もちろん田中だって、WBCでの登板経験がある投手なので、その違いはすでに理解しているはず。ただ、田中は年俸が高い分、即戦力として求められる要素が強い。メジャー流に慣れる時間があるかどうかも不安材料となります。