今シーズンのキャンプの話題を独占している日本ハムの新庄剛志監督(50)に、ライバル意識ありありなのが、ソフトバンクの王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(81)だ。新庄監督が「新庄ノート」配布をブチ上げれば、王会長は「真理の書」でチームを鼓舞。新旧2大カリスマの「野球奥義」とは‥‥。
「選手が暇な時、疲れていない時に5ページずつでも読んでもらって、頭に入れてもらって『BIGBOSSはこういう考えで野球をしたいんだ』ってわかってもらいたいだけ。この本は『ノムラの考え』と一緒です」
そうブチ上げた新庄監督は「レギュラー不在」と言われるチーム活性化のために、80ページほどの「新庄ノート」を作成。キャンプ中にも選手や球団関係者を中心に400部を配布する予定だという。球団関係者が語る。
「本の中身については、新庄監督自身がマル秘扱いだと明言していますが、漏れ伝わるところだと、難しい野球理論ではなく、『全力でプレーに取り組む』や、『練習でチャレンジをして反省する』といった、かなり基本的なことが書かれているそうです。新庄監督自身もあまり活字の多い本が得意ではないようで、文字が大きく読みやすい語録集のような内容になると聞いています」
この「新庄ノート」が「ノムラの考え」によることは、BIGBOSS自ら認めるところだが、古参の野球記者がその由来を明かす。
「元々、『ノムラの考え』は、ノムさんがヤクルトの監督時代にミーティング用に作ったものを、阪神監督就任にあたって、首脳陣や選手に配ったものです。その緻密な内容は、投手の配球や打者との駆け引きやケーススタディに始まり、人生訓まで多岐にわたる。新庄監督もまた阪神在籍時にノムさんの薫陶を受けただけに、折を見て読み返せるような本を監督就任当初から構想していたそうです。正月3日のインスタグラムでも新庄監督は、マーリンズの名将ジャック・マキーオンに関する本を紹介しています。彼の有名な言葉に『お客さんを楽しませるなら私は何でもやる』とあるのですが、新庄監督もお気に入りのようで、ショーマンシップの象徴のような言葉も掲載されているようです」
BIGBOSS流のチーム育成は「新庄ノート」のみならず、キャンプでもいかんなく発揮されている。現地で取材にあたっているスポーツライターによれば、
「新庄監督は『本当は100個ぐらい教えたいことがある』と口にしているのですが、一気に教えても覚えられないので『教えたことをノートに書いて』と、選手にメモすることを勧めている」
その成果は早速、8日の対阪神との練習試合に表れていた。スポーツライターが続けて、
「昨年に西武から移籍してきた佐藤龍世(25)がホームランを打ちましたが、新庄監督から『好きな球を打ちに行ってこい。ただし2ストライクに追い込まれたらペッパーの打ち方をしろ』と指示を出されていた。ペッパーとは、トスを軽く打ってピッチャーに返す練習の打ち方。実践でやれば、ピッチャーゴロを打つような感覚です。打席では序盤から、カットボールに対して思い切り引っ張る“マン振り”でタイミングが合わなかった。そこでフルカウントに追い込まれたところでのアドバイスでした。新庄監督は『ホームランになって驚いちゃった』などと話していましたが、簡単な言葉に全てが詰まっているため、シンプルなこと1点だけを意識させている。それで結果も出るから、チーム全体が『このリーダーについていけば間違いない』と思い始めています」
ビジョンは「新庄ノート」で、理論は球場で実践するというのが、BIGBOSS流なのだ。