難病はさらに肉体を痛めつけます。チャック・ウィルソンくらい日本語が不思議な口調になって、もう「世界まるごとHOWマッチ」状態。その調子の悪さといったらとんでもない。
そのまま緊急入院となり、美人女医の治療を受けたわけですが、嬉しいやら哀しいやらの状態で膵臓、肝臓の病との闘いです。ここまでダメージを受けてしまうと「ええい、ままよ」と開き直りすら感じてしまいます。もう、病気とニャンニャンですね。夕やけニャンニャンですよ、そりゃ。病気とペッティングってね、正気の沙汰じゃないし…。
ここで、消化器内科の説明に入ってみましょう。消化器内科は内科学のひとつで、語源の通り、「胃腸学」になるわけですね。胃や食道、大腸、小腸、十二指腸から、肝臓、膵臓、胆嚢などの「肝臓学」を含んだ消化器全般を扱う分野になります。ですから、肝炎や膵炎など命に関わる病気なども網羅していて、困ったことに筆者はどちらの病も罹患してしまったわけなんです。
さて、アミラーゼやγ-GTPがとんでもない数値になってしまった筆者。開院して間もない総合病院の消化器内科病棟で約2週間を過ごすことに相成りました。まずなくてはならないものとして、ノートPCと肌着や入院着などの着替え、歯ブラシ、歯磨き粉、ヘアアイロン、コンタクトレンズ、眼鏡、スマホの充電器などなどRIMOWAのトランクに詰め込みます。
案内された病室には、肝硬変を患う50がらみのFさん、深夜にインスタントラーメンやアメ、せんべいなどの菓子を盗み喰う糖尿病のWさん、「本日をもって退院いたします!」などとムダに様々なことを報告してくる肝炎のHさんの4人部屋になります。
挨拶もそこそこに、入院生活スタート。アメを盗み喰うWさんはイヤホンもつけずに、時代劇チャンネルの音を垂れ流ししています。いつもなら、「イラッと」くるところですが、体調の悪い筆者はそれどころではなく、病院食を拒否してしまうような体の塩梅でした。トイレに行くのも億劫、病棟内をうろつくことすらままならないのでした。
(この項続く)=不定期連載
丸野裕行(まるの・ひろゆき):ライター、脚本家、特殊犯罪アナリスト。1976年、京都市生まれ。フリーライターを生業としながら、求人広告制作会社のコピーライター、各企業の宣伝広告などを担当。ポータルサイト・ガジェット通信では連載を持ち、独自の視点の記事を執筆するほか、原作者として遠藤憲一主演の映画「木屋町DARUMA」を製作。文化人タレントとしてテレビなどにもたびたび出演している。